スロウハイツの神様(下) (講談社文庫)

4.34
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本棚登録 : 9246
レビュー : 1059
著者 :
yangsigma1989さん 小説   読み終わった 

下巻は一気に読んでしまいました。

やられましたねー。半分くらいの伏線には気づいたけれど、そこまで張ってあったのかってくらいに、怒涛の回収ラッシュ。しかも、拾い方がとてもおしゃれなんですよね。さりげなくてね。

上巻で大きな山場をもってくることなく、我慢して溜めて下巻でガッと動かす。なかなか勇気のいる構造だと思います。絶対に上巻で切らせないような興味の引き方をしていて、みごと成功させた辻村さんの力量はさすがです。

内容に関しても、芸術家たちの内面のややこしい(笑)葛藤を描きつつも、決して飽きさせないように話を展開させていきます。心情描写は軽めですが、ひとつひとつのエピソードが際立っているので、そこから読み取れる人は読み取れるのかもしれない。

とかなんとか言いながらも、この作品の一番良いところは、やはり主人公たちの住むスロウハイツの暖かさでした。作中でも、優しさとか、厳しさとか、甘さとか、偽善だとか、怒りだとか、愛情だとか、相手に勝ちたいとか、馬鹿にされたくないとか、本当にいろいろな感情がピックアップされていて、それらが真剣に語られているのですが、スロウハイツとそこに住む人々は皆、間違いなく優しい。ほんとうに素敵な世界です。こんなところに住みたい。こんな友人達と夢を追いたい。

読後感がさわやかで、一抹の寂しさと大きな希望を残して終わる、素晴らしい作品でした。

レビュー投稿日
2015年2月22日
読了日
2015年2月22日
本棚登録日
2015年2月22日
2
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