ホウ・シャオシェンの青春四部作の最後の作。ほろ苦いのに、少し爽やかな後味が残る独特な作品。
なんとも素敵な時間を感じられる映画。冒頭から観客はロングショットの長回しをこれでもかと見せられる。長回しの呼吸の一つ一つが、固定キャメラの映し出す構図の一つ一つが、冴えている。あまり特定の人物に寄ることのないキャメラが映し出すのは、あるストーリーというよりストーリーが流れている時間だ。
DVDの特典映像に含まれたインタビューで、脚本家のウー・ニェンチェンが、「これはホウ監督のある人生に対する解釈だ」と言っていた。この映画は、ある人生が依拠している環境・時間を映すことで、その人生をある仕方で解釈している。私にはホウ監督のこの仕方がなんとも愛おしく感じる。
ラスト、主人公は祖父と二人で、自然の時間に抱かれながら流れる沈黙に身を任せる。日本で言うところの無常観に似た、時の流れに対する人の逞しさを見た気がした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
その他
- 感想投稿日 : 2012年7月10日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2012年7月10日
みんなの感想をみる