続 白い巨塔 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1978年5月1日発売)
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感想 : 3
4

やっぱ続編あったんだと思いつつ、また知り合いの方からもらったので読んでみた。
結局下巻で勝訴した財前に対して、敗訴した佐々木一家が上告したため、続編も引き続き裁判ネタが主だった。裁判を行いながらも財前教授の学術会議会員選挙についても並行して書かれてたけど。財前教授は裁判、選挙、病院と3つのやらなければならないことに忙殺され、選挙には勝ち、裁判には負けたが、あまりの多忙さゆえ最終的に手術の施しようがないところまで進行した癌を患い、亡くなってしまう。今まですごくえらそうに生きてきた財前が最後の癌を患った時の、患者はかくも不安な気持ちだったのか的な思いが、読んでいてジーンときた。財前教授ってほんとうはそこまで悪い人間じゃないと思うけど、権力に取りつかれた人間が頽廃してしまうといういい例だと思った。死ぬことがわかり、初心に戻る的なありがちな話かもだけど、やはり感動するところがあった。ギャップか。東医院長も最後執刀してくれるとことかよかったし、里見は安定の信念の持ち主だけど、東佐枝子だけは嫌い。何かめっちゃ正義感ぶってるけど、お前の動機はナチュラルな正義感じゃなくて恋愛だろうがって。
あとがきで山崎豊子が取材に膨大な時間とエネルギーを費やしたって書いてあったけど、そりゃそうだよな。数え上げればキリがない医学の専門用語を必死に勉強し、弁護士の方に話を聞きに行っても、医学紛争裁判はほとんど扱ったことがないという人が多くて困ったって書いてあったけど、よくその状態からこんなちゃんとした話を書けたなって思う。売れなきゃ報われないと思った笑

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 書籍
感想投稿日 : 2015年9月26日
読了日 : 2015年9月26日
本棚登録日 : 2015年9月26日

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