タイム・マシン (ハヤカワ文庫 SF 274)

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レビュー : 4
やすおさん SF   読み終わった 

H.G.ウェルズの短編集。表題以外の作品も面白いので、各作品について感想を書く。

◎塀にある扉
どこかで読んだことがありそうな話。塀の向こうに何があるのか気になるのは子供も大人も同じ。ましてや、塀に扉があったら開けてみたくなるのが人情だ。パンドラの箱しかり、鶴の恩返ししかり。人の本能に訴える作品。

◎陸の甲鉄艦
甲鉄艦とは戦車のこと。戦車が実戦に投入されたのは、第一次世界対戦。この小説が発表される前だ。筆者が戦車の情報を入手していたと思われるが、戦い方について臨場感溢れる描写をした筆者はすごい。

◎魔法の店
不思議な不思議なお話。魔法グッズを販売している魔法の店。手品グッズではなく本当に魔法を使えるグッズが売られている。小さな子供とその父親が偶然見かけて入る(実際は入ることを許されたのだが)。子供は無邪気にはしゃいでいるが、父親はその店の異様さにだんだん冷静になっていく。同じ店にいるのに、大人と子供で行動が変わるのが面白い。短編ではなく後日談など長編で読みたい。あるのかな?

◎盗まれたバチルス
バチルスとは細菌のこと。死をもたらすコレラ菌だ。自分にはこの作品がもっとも分からなかった。最後がよく分からない。どうすれば分かるの? 当時の政治的背景が分かってないとダメなのかなあ。

◎故エルヴシャム氏の話
人間入れ替わりの話。今となってはよくあるアイデアだが、本書が発行された当時であれば、それなりに驚きをもって読まれたと想像する。読者を巻き込む語りにもどことなく古くささを感じてしまうが、それでも楽しく読めてしまう。人格が入れ替わる前に渡された円筒型の物の正体は何だったのだろうか。これは解決していないよね? 読者が想像しろということだろうか。

◎タイム・マシン
表題の話。タイムトラベル物の先駆け。驚いたのは、執筆から100年たっても色褪せないストーリーだということ。筆者が想像する未来の物語は突拍子もなく聞こえるが、それでいて少し現実味もあり、そしてタイムトラベラーの未来での冒険、ロマンスもあり、ページを繰る指が止まらない。夢中になって読んだ。100年以上前の読者はどれくらい驚きをもって読んだのだろうか。その様子をタイムマシンに乗って見に行きたい。

レビュー投稿日
2015年10月15日
読了日
2015年10月14日
本棚登録日
2015年10月10日
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