伊藤計劃トリビュート2 (ハヤカワ文庫JA)

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レビュー : 12
やすおさん SF   読み終わった 

映画「虐殺器官」の公開に合わせたかったのだろうが、伊藤計劃トリビュートの域に達していなく、最近出てきた作家の寄せ集め作品集になってしまった。個々の作品は悪くない。いや面白い。だけど、まとめると芯が通らない。本書で小川哲さんの「ゲームの王国」 が最も長い作品で、一冊の半分以上を占める。これでは、「ゲームの王国」とその他の短編集となってしまう。しかも最も分量のある作品が未完ときた。繰り返すが、「ゲームの王国」を含めて個々の作品は良い。まとまりがないのが欠点であり、これは企画段階で予測できたはずなので、編集部がなんとかして欲しかった。

◎草野原々「最後にして最初のアイドル」
奇想SFである。面白いかと言われると、否定と肯定の二つの気持ちが同時に沸き起こる。突き抜けてしまった独創性というべきか。この作品の存在を素直に肯定できないが、否定してはいけない気持ちもある。どっちだ?

◎ぼくのりりっくのぼうよみ「guilty」
音楽の世界によく登場するような世界観であり、ストーリーである。言葉を大事にする作家さんのようで、文章にメロディーを感じる。心地よい文章には好感を持てるが、伊藤計劃トリビュートではないな。

◎柴田勝家「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」
SFマガジンで既読。VR/AR特集だったのでそれに相応しい作品として読めた。これを伊藤計劃トリビュートとして採用してもなあと思ったが、加筆部分が良かったのか、伊藤計劃を思い浮かべるような作品になっていた。面白かった。

◎黒石迩守「くすんだ言語」
さすが書き下ろしだ。伊藤計劃の世界を大事にして書かれている。虐殺器官とハーモニーを合わせたような作品になっている。物語に続きがあるのなら読みたい。

◎伏見完「あるいは呼吸する墓標」
SFマガジンで既読のはずなのだが印象に残っていない。読書メモには面白かったと残してあるのに。また、前回の伊藤計劃トリビュートに掲載された作品も面白く読んだと読書メモにあるが、作品を思い出せない。本作品も面白く読んだ。でも、記憶に留まることはないのだろうなと思う次第である。

◎小川哲「ゲームの王国」
未完の小説。収録された分だけ読んでもSFとは思えない。これからSF要素が増えていくのかも知れないが、これだけではどちらかというと冒険小説に近い。良かったのは、伊藤計劃の虐殺器官の血生臭いディストピアの世界が構築されているところか。

レビュー投稿日
2017年3月2日
読了日
2017年2月28日
本棚登録日
2017年2月23日
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