家計・非常事態宣言 やってはいけない投資・借金・個人年金 (朝日新書)

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  • 朝日新聞出版 (2010年8月10日発売)
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デフレ状態が10年以上も続き、給料が上がらない状態が続く中で、銀行預金の金利は1%を下回っています。巷には低金利時代を勝ち抜くための資産運用術など紹介されている本が目につきますが、その中にあってこの本の著者である萩原女史は、多くの「やってはいけない」資産運用について述べています。

私が理解した結論は、「銀行預金をコツコツ貯めて、その他のものには手を出すべきでない」というものです。金投資まで「やるべきでない運用」にリストアップされていたのは驚きでしたが、今から始めるとすればそうなのかもしれないと納得しました。無駄遣いをせずに天引き預金をするのが一番というところでしょうか。

解説の中で、地価が上がらない理由として生産緑地法の改正を挙げている点(p94)は納得できました。

以下は気になったポイントです。

・給料が上がらなくなってしまった理由は、会社と従業員の関係が変わってしまったから、終身雇用制度が崩壊して効率重視の雇用形態に変わったから(p13)

・昔は従業員は社長を父親とした会社という家族の一員であったが、現在は労働力というコストになってしまった(p17)

・サブプライムローンで借りた人達は通常では銀行の審査でNOとなるが、銀行は貸したローンを担保に有価証券を発行して、それを売却する証券化という手法を使うので、低所得者層にお金を貸しても絶対に損をせずに資金回収ができた(p32)

・日本は世界で最も破綻が起きにくい国だと思われているので、世界になにか不穏な動きがあると円高になる(p43)

・1年間経過して1万円のものが9000円になっていれば、1年間貯金をしていれば10%の金利がついたのと同じこと、表面的には0.1%でも実質的には凄い金利がついていることになる(p47)

・401K制度ができたのは従業員のためでなく、企業年金の運用で困った企業と、貯蓄から資産を投資に振り向けることで株価のアップを狙った政府、企業年金を運用することで手数料を稼ぎたい金融機関の思惑が一致したため(p64)

・国の年金は25年間加入していないと貰えないが、年金基金の企業年金は1ヶ月でも加入しているともらえる(p67)

・日本の地価が上がらなくなった理由として、1)企業に新しい会計制度が導入されて、簿価をベースとした借り入れが出来なくなった、2)1991年の生産緑地法の改正により宅地化農地(30年以内に土地を売れるもの)にした人達(首都圏の7割)の相続発生により土地が売りに出されている(p94)

・保険料が若い時に安いのは、若い人はそうそう亡くならないから、30歳で死亡する確率は9.8万人中85人、60歳で9万人中751人(p111)

・日本の医療制度はかなりの医療分野をカバーした素晴らしい制度であることを認識しておくべき(p115)

・変額個人年金の最大手であったハートフォード生命保険の最低保証付きの年金の一部は、すでに停止になっている(p123)

・控除が減るとは、税金がかからない部分が減るということであり、実質増税である、これが決まっているのが、一般扶養控除と特定扶養控除(p131)

2011/1/23作成

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 資産運用・保全
感想投稿日 : 2011年7月25日
読了日 : 2011年1月23日
本棚登録日 : 2011年7月25日

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