オバマの誤算 「チェンジ」は成功したか (角川oneテーマ21 A 127)

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  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年12月10日発売)
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オバマ氏が大統領に選ばれることになった投票日(2008年11月)にたまたまアメリカ出張がありました。投票日は昔から火曜日で仕事の日なので、その日は早めに多くの人が帰宅していたのを覚えています。

あれから2年少し経過して、就任式の熱狂から覚めたのでしょうか、次第にオバマ氏の成果を問うものも見られるようになってきたと思います。地震被害への対応スピーチを聞いていても、我が首相とオバマ大統領との訴求力の差を感じてしまうこの頃です。

この本は地震発生前に読んだ本ですが、オバマ氏が「チェンジ」をもう一つ行えていない点について書かれています、黒人大統領と言われながら、黒人のための大統領になるつもりは無いと言っていた彼がいまどのように言われているのか等、日本のメディアを見ている限りではわからない点について書かれていたと思います。

国民皆保険の導入など、大変とは思いますが「チェンジ」に取り組み続けてほしいと思いました。

以下は気になったポイントです。

・人種差別が法的には撤廃されているが、いまだに教会では白人と黒人は分かれて祈りを捧げているのが普通(p31)

・オバマは金持ちの家柄ではないので、別荘とか牧場を持っていないので、警備の関係から利用できる施設も限られる、就任2年目の夏までに、ブッシュ氏は14回、115日、オバマ氏は8回、48日のみ(p47)

・偉大な黒人指導者は色が白く、黒人英語でなく標準英語を話す、色の白い奴隷(ハウススレイブ)は主人の家で家事労働をするが、色の黒い奴隷はフィールドスレイブとして畑仕事をする(p59)

・白人オバマ支持率は、就任時の62%から、2010年には38%と大幅低下、ヒスパニックの場合は、74から54%、黒人支持率は88%のまま(p83)

・オバマ就任後に成立した総額8000億ドルの景気刺激法において、黒人ビジネスに回ったのは1.1%、ヒスパニックには1.7%、黒人失業率は16%と白人の2倍近い(p85)

・医療保険制度改革法の成立によって、2014年からは無保険の黒人はその恩恵を受ける、だが多くの州が、医療保険加入を強制するのは憲法違反としている、2010年9月には中小銀行向けの資金投入を目的とする法案が成立(p87、170、182)

・アメリカ国民は、そもそも不当な税金は払わないということから、イギリスから独立した国なので、政府の税金の使い道には厳しい目を向ける(p108)

・1754年にフランスとイギリスで北アメリカでの植民地をめぐる領土争いが起きた時に、フランスは先住民のインディアンの力、イギリスはアメリカの植民地の協力を得て対峙した(p114)

・ティーパーティに参加した人の74%が共和党支持者か、共和党寄りの無党派、人種別では白人が圧倒的(p132)

・2010年の中間選挙において、30名の黒人が共和党の予備選挙に出馬した、結果はほとんど敗退したが、選挙を戦えたという自信を彼らが持ったことは大きい(p137)

・アメリカは13の植民地が独立してアメリカ合衆国を形成したが、独立後も各州は国家のように独立している、社会サービスは州政府の仕事であり、連邦政府による福祉政策は国民の理解は得られないことが多い(p151)

・人口の15%にあたる4600万人が医療保険に加入していないのは、本音ベースでは、保険・製薬会社、病院、医師等が強く反対しているから(p157)

・新法では現行の19歳から、26歳まで親の保険にとどまることができるようになったので、無保険者の30%が19~29歳であることを考えると、若者の生活安定には良い(p174)

・リンカーンは、解放した黒人をアメリカに残すのではなく、外国に植民させたいと真剣に考えていた(p219)

2011/3/16作成

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 外国一般
感想投稿日 : 2011年7月19日
読了日 : 2011年3月16日
本棚登録日 : 2011年7月19日

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