2040年全ビジネスモデル消滅 (文春新書 1108)

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  • 文藝春秋 (2016年12月20日発売)
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新年(2017)あけましておめでとうございます!二年越しで読みましたが、新年になって初めて読み終わった本です。昨年末に最寄りの本屋さんで見つけた本ですが、タイトルの衝撃さ「2040年全ビジネスモデル消滅」に惹かれて購入してしまいました。

凄い内容が書かれていました。日本が絶頂期を迎えた1996年(私が社会人になって7年目)までは、質より量の「マクドナルド型」が成功モデル、それから今までは、そのモデルはダメになり、代わって、量より質で勝負する「ディズニーランド型」が絶頂期を迎えている。

ところが、このモデルも、2040年を迎えるころには絶滅してるというものです。絶滅が2040年なので、勢いを失う起点はいつかということですが、それをこの本の著者は、東京五輪が終わる2020年あたりとしています。

2017年から東京五輪を迎えるまでの3年間、日本経済は最後の輝き(あがき?)を見せるのかもしれません、それから2040年の既存ビジネスモデルの絶滅へ向かって、変化することができた会社のみが成長しているのでしょうね。最近読んだ、神田氏の本に書いてあった通りです。私の中で、この二冊の本が繋がりました。新年早々素晴らしい本に出会えたと思います。

以下は気になったポイントです。

・マクドナルドが上陸したときのハンバーガーの価格は80円、タクシーの初乗り料金が130円、子供のお小遣いでは少々高い食べ物であった(p2)

・不動産関係の仕事をしている著者は、マクドナルドの低迷と、ディズニーランドの降盛は不動産に対する人々の価値観の変化にも密接に結びついていることをわかっている(p9)

・2021年からの時代は、ディズニーが演出してきた「質的充足」の時代の到来である。不動産においても、ハコを用意するだけでなく、ハコの中身、つまり、ソフトウェア・コンテンツの創造、演出が勝負を分ける時代となる(p10)

・戦後四半世紀を過ぎて、日本は世界でも類を見ないほどの人口増加を見せた。太平洋戦争終結時に7214万人だった人口は、1970年には、1億466万人、45%もの大幅増を記録した(p25)

・マクドナルドは直営店を中心に進出したが、日本国中に店舗網を形成するために、アメリカ仕込みのフランチャイズ制を導入した。1976年、沖縄浦添市が一号店(p29)

・1971年に、1個80円だったハンバーガーの値段は、73年4月に100円、74年150円、79年170円、80年180円、83年には200円、85年12月には、210円となった(p31)

・オリエンタルランドは、京成電鉄・三井不動産・朝日土地興業の三社による出資によって設立された(p45)

・東京TDLは、ディズニーランドの直営ではなく、ライセンス契約を締結し、オリエンタルランドの責任と費用負担の下、多大なライセンス料を負担することで進出を検討してもらえることになった。(p49)

・買い物ばかりに目を奪われていた日本人旅行客も、リピート率が増えるにつれて「コト消費」と呼ばれる体験型旅行へ軸足を移していった、日本にやってくる中国人旅行客と似ている(p57)

・1996年ころを境に日本は、経済成長が止まり、「超デフレ社会」とも言われる「失われた時代」に突入する。このころからマクドナルドは迷走を始める。このころ、共働き世帯の数が、専業主婦世帯の数を上回る。1997年に男女雇用機会均等法が改正され、女性保護の規制が廃止された(p71、79、226)

・2000年にマクドナルドの店舗数は、1995年の2.4倍の3598店舗となり、人々にとっては「いつでもどこでも」味わえるものになった(p91)

・マクドナルドの迷走は、利益追求と、質的充足を追い求めるあまり、自社のターゲットとなる顧客層が拡散し、事業コンセプトが曖昧になったことから始まった(p98)

・質的充足は、顧客に「驚き」「感動」を与えること、どうやったら「驚いて」くれるかと尋ねるのは、落語家や漫才師が「何をしゃべったら笑ってくれますか」を聞いていることと同じ(p103)

・ディズニーランドのすごさは、大真面目に夢と魔法の「本物の国」を築き上げていること、これが遊園地(リアルな世界に対するバーチャル)との違いである(p119)

・スタンプラリーのように、人間は順番をつけてあげると、その順番通りに行動をしていく特性がある(p127)

・2020年に3569万人に達する首都圏人口は、2040年には3231万人に減少すると言われている。東京都ですら2020年以降は減少する(p136)

・都心の一部を除いて、今後の住宅地の値上がりを期待するのは望み薄、住宅は、今やマクドナルドと同じく、コモディティ商品となった(p143)

・2015年度の新設住宅着工戸数は、持ち家よりも、賃貸の着工が多く、全体の40%を超えている(p145)

・相続評価による基礎控除額の減額改正(2015年1月より)により、基礎控除額が6割に減額されたので、アパート建設を利用した節税が広まった(p149)

・住宅地には敷地面積200平方メートル以下の小規模住宅用地について、固定資産税の税額を6分の1に減額する特例措置があるが、更地にすれば、税額は6倍になる(p157)

・日本の総住宅数が、6063万戸なので、マンションはその約1割を占める(p158)

・新築マンションが値上がりしているのは、資産価値が高くなっているのではなく、原価がアップしているのが原因(p160)

・シンガポールの例を見ると、カジノ施設が全体に占める面積割合は5%程度であるが、収入では全体の80%(p192)

・2013年における日本の富裕層(金融資産額:1-5億円)および、超富裕層(5億円以上)の世帯数は、100万世帯になり、2年前比較で24.3%の高い伸び、総額は241兆円で同じく、28.2%の伸び(p213)

・2040年には、首都圏の主要都市と、西日本の県庁所在地では、高齢化率は殆ど変わらない状況となる(p220)

・日本にやってくる多くの移民は、都心部に多数所在する賃貸住宅の空き家に住みつくだろう(p224)

2017年1月1日作成

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: シンギュラリティ・AI・3Dプリンタ
感想投稿日 : 2017年1月1日
読了日 : 2017年1月1日
本棚登録日 : 2017年1月1日

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