私が今日現在(2013.11)で知る限り、中国は世界経済を牽引していると理解しています。現在は欧米、日本も含めどの国においても何等かの問題があると思いますが、この本は中国経済について詳しい二人の識者(黄文雄氏、石平氏)が、2014年(つまり来年)には中国経済は崩壊するとしています。
私が高校生の時、ソ連邦が崩壊するという本を読んでいて、そんなことが起こるのかと思い、それからしばらく順調のように思って忘れていたころ(社会人1-2年目)に突然、崩壊しました。本当の崩壊は忘れた頃にやってくるのでしょうか。
個人的には中国にはもっと発展して欲しいとは思っていますが、本で指摘されているように、国内での格差が半端ではないようですね。私の会社には中国には上海と北京にオフィスがありますが、転勤することはとても難しいことを現地の同僚から聞きました。中国は崩壊というより分裂はあり得るのではと、この本を読んでふと思いました。
以下は気になったポイントです。
・2013.6に上海株価が5.3%も下落したのは、中国の各銀行が理財商品と言われる子利回りの財的商品の償還が6月末に迫っていたから、その予兆として、ATMが一部止まったり、銀行窓口業務が停止したりしていた(p14、15)
・2013.4、中国国内で流通している人民元の総量(M2)は、103.6兆元となり、アメリカの1.5倍となった、流動性過剰が生じている、この11年間で6倍近く増えている(p27、28)
・2009頃まではデフレ気味であったが、2011.8には平均で6.4%上昇、食品に限れば毎月十数%に及んでいた(p29)
・シャドーバンキングとは、国有企業が銀行からお金を借りて、本業とは関係のない金貸しを始めたことによる、推測では8兆元(125兆円)(p37)
・2011の中国GDPは 47.1兆元(565兆円)だが、31省直轄市自治区の合計は51.8兆元で、その差が4.6兆元になっている(p43)
・農民工は、中国政府の発表では2.3億人、彼等はどこでもする仕事は同じであり、内陸に行くほど賃金が安いわけではない、また彼等は日本の出稼ぎ労働者と異なり、農村にも生存基盤はない(p59、60)
・中国の大学生は7月卒業で9月月に就職する、2013年に卒業する大学生は699万人いるが、現在は史上最悪の氷河期であるといわれる、5月末で内定していたのは16.8%(p63)
・2013.5に、中国政府は、北京と上海の大学に対して、報道の自由・公民権・共産党の歴史的誤り・司法の独立、などの7項目を教えてはならないとする指示をだした(p72)
・中国にも憲法はあるが、序章において、中国は中国共産党に指導を仰ぐとある(p92)
・中国には22省、5つの自治区があるが、中華文明圏が及ぶのは、だいたい18省プラス、朝鮮・ベトナム程度(p100)
・2013.7.30には、30億ドル分の日韓スワップを延長しなかった(p123)
・中国はTPPに参加する資格は無い、為替は変動相場制でなく、資本移動も制限、知的財産権の侵害問題もある、中国が気になるのは、TPPができると中国周辺諸国による経済共同体ができてしまうこと(p140)
・2015年には韓国軍の統帥権がアメリカから返還される、盧武鉉大統領時代に要求したら通ってしまった、2012返還を延長してもらってそれが2015年に切れる(p146)
・沖縄は明の時代に中国に朝貢したことがあるが、同時に1609年から薩摩藩の支配下に入っているので、中国の主張(琉球人の70は中国人の子孫)は誤り(p173)
・殆どの沖縄県民は中国を嫌っているし、独立したい人は4.7%程度(p174)
・中国の粗鋼生産能力と消費量の需給ギャップは、1.9億トン、これは日本の粗鋼生産量を大きく上回る(p181)
・中国は歴史的にユーラシア大陸における伝染病の発生源、14世紀に欧州で流行したペストも、その発生源は、中国雲南地方、それがモンゴル軍の遠征により広まった。19世紀にも中国由来のペストとインフルエンザが世界で大流行した、これらも中国が発生源として日本をはじめとして世界に広がった(p183)
・清王朝の半ばから中国では人口が爆発的に増加、新税制により人頭税をやめたこと(p185)
・ウイグル族はイスラム圏とのネットワークもあり、弾圧に対する抵抗も根強い、これから中国がもっとも手を焼くのはウイグルだろう(p197)
・2013.2には、毛沢東時代からの友好国であったザンビアが、中国所有の炭鉱から管理権をはく奪した、ボツワナやガーナ等でも同様(p203)
2013年11月10日作成
- 感想投稿日 : 2013年11月10日
- 読了日 : 2013年11月10日
- 本棚登録日 : 2013年11月2日
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