なぜ風が吹くと電車は止まるのか (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所 (2012年8月11日発売)
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最近電車が止まることが多くなったと思っています、人身事故が主な原因のようですが、あまりにも頻繁に起こるので、関係者(駅員さんや乗客)もかなり慣れてきている感じがします。

それでも台風や大雨が近づいているときは、ほんの僅かの差で普通に家に帰れたり、1時間以上も電車の中で缶詰になってしまったりすることが、この数年間体験したことです。

この本は、電車が自然災害(台風、地震等)やテロによって受ける影響等について、梅原氏が解説したものです。鉄道にまつわる話について、楽しく読ませてもらいました。

以下は気になったポイントです。

・関東大震災時に、脱線事故が11件、23人が死亡、120人が重軽傷、102人が行方不明となったが、今回の東日本大震災では1件の脱線事故もなかった、地震の揺れを察知して急停止させるシステムがあったから(p15)

・コンクリート路盤は、全国5.9万キロのうち、わずか7.9%の4691キロに過ぎない、そのうちの54.6%は、新幹線のもの(P32)

・新幹線の地震対策として、沿線地震計は40ガル(震度4程度)の地震を感知すると、即座に架線へ送電中止をする、東京地下鉄では、震度5相当の100ガルの揺れを感知すると、自動的に列車をとめる(p35、43)

・東日本震災における銀座線での苦い経験から、大地震が起きた場合、わずかな路線だけを復旧させても、かえって混乱が生じることが判明した(p53)

・車両用の塗料はすべて水性、実は車両を燃えにくくするため(p67)

・八ツ山トンネルの品川駅側の入口は谷間となっていて、品川駅・新横浜駅の双方から下り坂に位置するなど、冠水しやすい条件を備えていたので、1993.8.27に冠水した(p70)

・電気防食工法といって、鉄筋に直流の電気を流して腐食を防ぐ方法が採りいれられている(p106)

・今日の鉄道会社で24時間稼働する発電所を所有するのは、JR東日本、関西電力の2社に過ぎない。架線からバスに電力を供給するトロリーバス(p161)

・各駅に停車する列車のほうが、電力消費量が少くなる要素として、回生ブレーキを搭載しているから(p171)

・最新型のN700系という新幹線は、半径250メートルのカーブでも直線区間と同様に時速270キロで走行可能、カーブを通過する際に生じる強い遠心力を打ち消すために、車体をカーブの内側に1度傾ける車体傾斜装置を搭載している、これにより5%の消費電力がカットできた(p174)

・三大交通圏における1日当りの鉄道利用者数は、首都交通圏:1030万、京阪神:447万、中京:103万人、往復などを考えると、正味利用者数は、400,200,40万人台となる(p184)

・2011年の東日本大震災で、山手線が長時間不通になったのは、新宿ー新大久保間に架けられた橋梁を支える盛土が崩れたから(p197)

・近年の事故を見る限り、先頭車両と2両目(最後部とその前も同
様)を避けて乗るほうがよい(p209)

・JR東日本の中央線、東中野駅構内は今までに3回も衝突事故が起きている(p210)

・2000年代初めまでは、何でもない場所でスピードを落とすことがあった、前の晩にバラストを突き固めた場所は安全のために時速170キロに速度を下げていた、今は専用機械が導入されているので徐行が不要となった(p230)

2012年10月28日作成

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本
感想投稿日 : 2012年10月28日
読了日 : 2012年10月28日
本棚登録日 : 2012年10月28日

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