12億の常識が世界を変える インド

  • ポプラ社 (2010年10月15日発売)
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現在は中国の経済発展が著しいですが、中国とインドの現在の人口構成を考えると、2050年頃にはインドが人口や経済で世界一になるとも言われています。

また、中国は商人が活躍しているのに対して、インドは「ゼロ」の概念を生み出した国であることから、数学に強く工業やコンピュータを自ら生み出す力もあるように思います。

この本は、普段からよく読んでいる長谷川氏によるもので、インドの真実が書かれています。インドでカースト制度の概念が無い州がある(p150)というのは驚きでした。
中国の次に成長することが確実といわれているインドに関する情報を、今後とも注力していきたいと思います。

以下は気になったポイントです。

・インドは少なくとも半世紀以上先のインド社会を憲法という形で法律化した、これはインドが胸を張って誇れる偉業である(p21)

・インドの人口12億人の最大の魅力は、25歳以下の人口が約52%という人口構成である(p33)

・年間世帯所得が20~100万ルピー(約40~200万円)の中間層の人口だけで、約1億5000万人いて、その増加スピードがかつての日本と比較して3倍は早い(p35)

・インドでは現地の言葉を読み書きすることによって初めて、統治がなされているシステムであり、昔と変わっていない(p45)

・プラッシーの戦いにおいて、兵士の数はイギリス軍はフランス軍の3分の1であったが、戦い方に明確な違いがあり、結果として大きな戦力の差が出た、その最大の理由は、言語政策であった(p48)

・インドの代表であるボンベイ証券取引所(SENSEX指数)は、アジアで一番古い由緒ある取引所である、綿花取引所の歴史はリバプールより古い(p66)

・ボンベイ証券取引所の銘柄は30であるが、アメリカの企業は1社もないが、その中で日本企業はマルチスズキと、ヒーローホンダが入っている(p67)

・日印間の経済関係は拡大傾向にあるとはいえ、日中間の貿易総額の20分の1程度(p77)

・100円ショップの大創産業は、今年の4月から中国での仕入れを全面的にストップ、現在はバングラデシュやベトナムへ生産シフトしている、いずれはインドが注目される(p78)

・インドでの3大財閥は、リライアンス、タタ、ビルラである、その後に、マヒンドラ、ターバル、バジャージなどの中間閥がひしめいている、現在隆盛を誇っているのがリライアンスである(p79)

・ナノの生産拠点が別の州に移ってしまったのは、対抗勢力の地方政党が入り込んできて、抗議行動を支援したから、インドは中央政府と州政府との関係は日本と異なる(p84、86)

・第二次世界大戦後にアジアで農地改革を実現させた国は、日本・韓国・台湾であり、その3国が高度経済成長を経験している(p108)

・中国の農家1戸あたりの耕作面積は、日本の3分の1程度、日本では大農といわれる10町歩以上を持つ人たちが農業生産の70%を占めている(p109)

・現在1200万店舗を超える小売店のうち、99%が家族経営、ショッピングセンターのようなものは1%程度、外国人は言葉が通じないと、5~10倍以上の値段を提示される(p113)

・SUV、ピックアップトラックを手がける、マヒンドラ&マヒンドラが、韓国の双竜(サンヨン)を買収した、タタモータズは、ジャガー・ランドローバーを買収している(p118)

・インドは世界一通信料が安いといわれている、5ルピー(10円)で1週間程度は携帯電話を使用できる(p137)

・インドではカースト制度に縛られていると思われがちだが、ウェスト・ベンガル州などのように、カーストの概念がない州もある(p150)

2011/3/13作成

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 世界経済
感想投稿日 : 2011年7月24日
読了日 : 2011年3月13日
本棚登録日 : 2011年7月24日

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