アバウトアインシュタイン アインシュタインをめぐる70のミステリー

著者 :
  • 秀和システム (2005年5月27日発売)
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感想 : 8
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アインシュタインといえば相対性理論というニュートン理論を覆した革命的な天才物理学者というイメージしかありませんでしたが、この本は竹内氏がその理論の概要も含めて、アインシュタインについて、分かりやすく解説をしてくれています。

特に4次元空間の説明(p70)を読んで、昔からわからなかった4次元の世界が少しイメージできるようになりました。浦島太郎が「つづら」を開けたときに老人になってしまったカラクリも分かったような気がしました。

以下に気になったポイントです。

・1905年の3月から9月にかけて、光量子、博士論文、ブラウン運動、特殊相対性理論(1,2)の重要な論文を書き上げている、特許庁に勤めていた時の余暇時間を活用した(p22)

・物体の長さとは、その物体の両端を同時に測らなくてはならない、相対性理論では観測者毎に同時の概念が異なるのが、”光速においては長さが縮む”ことになる(p54)

・相対性理論において、二人の観測者の間に相対速度がある場合、1)同時性の概念は一致しない、2)互いに相手が縮んで感じられる、3)互いに相手がスローモーションに見える、である(p57)

・アインシュタインはエーテルというそれまであると仮定されていた基準をなくし、エーテルに対する速度という概念を光速度一定に置き換えた(p65)

・光速に近い速度においては、ニュートン力学は使えない、相対性理論では速度の足し算は単なる足し算にならない、光速60%と光速60%をたすと120%になるのではなく、88%にしかならない、(V+u)/(1+(V+u)/C^2))である(p67)

・0次元である点を1方向に動かして「線」となる、線を一方向に動かして「平面」になる(広がる方向は2つ)と考えると、3次元立体を動かして(広がる方向は4つ)その軌跡を見ると、4次元世界を垣間見ることができる(p71)

・3次元立体を「2次元の中に2次元が入ったもの」とみなすと、4次元は「三次元の中に三次元が入ったもの」とみなすことが出来る(p71、図5)

・浦島太郎現象が起きるのは、地球へ戻るために、どこかで方向転換をする必要があり、その時に感じる加速度を感じることで、一般相対論の問題となって時計が客観的に遅れることによる、地球に残っている人間は加速度を感じないので、加速度を感じた宇宙旅行をしてきた方は時計が遅れる(p103)

・アインシュタインの相対性理論は、客観的な一つの視点ではなく、複数の視点から世界を記述する世界である、その点においてピカソとの共通点がある(p140)

・ニュートン理論が役に立たないのは、速度が光速に近い時や、重力・加速度が強い場合のみで、一般の場合には、これまで通りニュートン力学は通用する(p144)

・アインシュタインは頑なに量子力学を拒否し続けたので、次第に物理学研究の最前線から取り残された、その理由は量子につきまとう「不確実性=ボーア等の実証主義」を認めることができなかった
からである(p135,154)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 環境・エネルギー・気候・学術
感想投稿日 : 2012年4月18日
読了日 : 2009年9月13日
本棚登録日 : 2012年4月18日

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