パブとコーヒーハウスで辿るロンドン近代史
読了日:2008.05.23
分 類:一般書
ページ:112P
価 格:1800円
発行日:1998年8月発行
出版社:河合出書房新社
評 定:★★★
●作品データ●
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テーマ : ロンドン近代史
語り口 : 教科書調
ジャンル : 一般書
対 象 : 一般向け
雰囲気 : 図版豊富
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---【100字紹介】-------------------
イギリスでビールといえばパブ。
130年ほど前から文献に登場するパブだが、
それに当たるものはもっと以前からあった。
中世ヨーロッパから現代まで、酒場と社交場から、
ロンドンの市民生活を豊富な図版とともに辿る
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「物語」とタイトルにつきますが、分類は歴史。都市としてのロンドン史で、視点が市民。切り口は副題の通り、パブとコーヒーハウス。なかなか斬新かも。
イギリス人と深い関係のあるアルコールと言えばビール、らしいですね。そしてビールと言えばパブがなければ話にならない…らしい。パブは「パブリック・ハウス」の略語で、公共の家、ということ。一種の社交場なのです。人が集まるところに、歴史が見える、と。パブ自体が文献に登場するのは130年くらい前(ただしこの本自体が10年前に出ているので、本日から見れば(140年くらい前、というのが正しいところか)。ただし、その前身ともいえる「パブリック・ハウス」に当たるものはもっと以前からあって、それが「タヴァン」「エールハウス」「イン」である…と続きます。そしてその3つの説明から、歴史の中に飛び込んでいきます。
スタート地点が上記の3つで、中世から。その後はそれらの変遷を辿りつつ、新しい方へ順に進んでいきます。その話題は様々で、個性的なパブの看板たちをカラー写真で紹介したり、旅の話、娯楽の話、公衆衛生の話…、いかにパブというものが、市民生活に密接に関わっていたかが分かります。それと、その周辺を語ることで、その時代の市民と、そして時代がともに語られてくることで。なかなか面白い切り口、ということですね。
基本的には教科書調の事実としての解説的文章ですが、そこまで重くはないかな。でも軽くもないですけれども。そこそこ学術的な雰囲気もあり。一番見るべきところは「図説」というタイトルを冠しているだけあって、図版が豊富であるところでしょうか。実に様々な写真や絵が、入っています。図版が1つもないページなんてないくらい、図版に埋もれているといいますか。古い絵であったり、今の姿の写真であったり。ロンドンの今と昔を総合的に旅した気持ちになれるかも?
日本で言うところの「江戸」であるロンドン。この前、その江戸の市民生活の本を読んだところでありますので、その違いというのもなかなか面白いと思います。国が違えばこんなにも違うのかというか。そういう読み比べも、結構楽しいかも?
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文章・描写 :★★★
学 術 性 :★★★
簡 潔 性 :★★★
独 自 性 :★★★+
読 後 感 :★★★
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- 感想投稿日 : 2010年10月10日
- 読了日 : 2010年10月10日
- 本棚登録日 : 2010年10月10日
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