自由奔放でいながらかすかな哀しみをたたえた渡辺松男の短歌の世界、いつまでもひたっていたいやすらぎを感じる。「癌と知りちひさくちひさくきみ座すればきみより大きな蜻蛉が窓に」「啼くこゑが君を見えなくしてしまふ夕日まばゆきかなかなの路」「キッチンとなかよくしたきわれならばおはやう、だれもゐないキッチン」「ひとをつよくおもふとき気球うかびたりつよくみあげてをればおちない」「この世ならぬひかりのみづをつつみたる桃はゆふぐれどきに食むもの」「消えさりし鱗のことはかなしけれど忘れてしまへいまは鯰だ」「えーえるえす、ゆめではなんと自由です、牧水の脚で渋峠こゆ」
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- 感想投稿日 : 2021年3月25日
- 読了日 : 2021年3月17日
- 本棚登録日 : 2021年3月17日
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