若夏記―今野寿美歌集

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  • 河出書房新社
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「若夏」という言葉が素敵だ。今野寿美さんは横浜市立大学の卒業生で、娘の先輩にあたる。「あくがれて峠こゆれば水無月の尾瀬がひつそり抱く水のかさ」「首都に秋あふれて真昼いにしへは<もみち>といひしさやけさが降る」「両翼の裡ゆくりなく見せて翔ぶ鷺はゆらりとあくまで白き」「一生に恋はひとつであるべきに卯の花ぬらすやはらかき雨」「夏ゆけばいつさい棄てよ忘れよといきなり花になる曼殊沙華」「曼殊沙華もしは昔の血がさわぐそんな昔があらばよからむ」「トレモロのやうに自転車丘に消ゆこの世をかの世と呼ぶときあらむ」「セロリーをぱきんと折ればたつ霧のそこから始まりさうなやさしさ」「されば若夏 放つておいても枇杷みのりひとの往き来のしづかさの外」「遠くなるほかなき昭和そののちを刻みて枇杷は雨にも灯る」「枇杷と杏子と星と熟れたるあたたかさ笑ひてにじむ涙のやうな」「欲と俗見てしまひたる夕ごころそろそろ鶴に還りませうか」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年9月11日
読了日 : 2021年9月11日
本棚登録日 : 2021年9月11日

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