少年陰陽師 朝の雪と降りつもれ (角川ビーンズ文庫 16-44)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012年1月31日発売)
籠目編最終巻。
続きが気になりすぎて、試験が近いにも関わらず一気に読み終えてしまった。
あんなに優しいと思っていた時守が実は妹を恨み疎み、殺すために禍つ神にまでなってしまったとは。件の予言によって苦しめられた時守には涙を流さずにはいられない。もちろん、時守の最期の言葉通りに彼を神にしてしまった氷知も例外ではない。作中でも語られているけれど、言霊は恐ろしいものだと思った。
そして、真実を知った螢の心が砕けていく場面や脩子内親王が定子を求めて彷徨う場面では心が痛かった。何も見ないで、何も聞かないでいることはたしかに楽だ。けれど、生きていく上では真実を見て、聞いていかなければならないのだと思う。
そしてこの巻で圧巻だったのは、成親、夕霧、そして昌浩3人による呪詛返し。別の場所にいながら、3人の力によって行われたこの呪詛返しは、このシリーズで私の好きな場面のひとつにもなりそう。
前巻で、死の間際に手を伸ばした定子には脩子が見えていたと知って、そこでも涙してしまった。甘えたくても甘えられなかった脩子が最後に定子と対面できて、本当に良かった。
夕霧の疑惑も晴れたし、螢も無事神祓衆を説得できたようで良かった。昌浩と彰子はもうしばらくは会えないようだけれど、互いに互いを信じているから、今までの不安定な関係から、安定な方へと向かって行って欲しい。そして、ぜひ約束を叶えて欲しい。
このシリーズは数年前から少しずつ読んでいるけれど、毎回毎回あらゆる布石がひとつに繋がったときには鳥肌もの。素晴らしいシリーズだと思う。
この後の章ではどうなるのか。あらすじなどは巷で聞いているけれど、どんな展開になるのかがとても楽しみ。
- 感想投稿日 : 2013年5月15日
- 読了日 : 2013年5月15日
- 本棚登録日 : 2013年5月15日
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