アメリカン・ブッダ (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房 (2020年8月20日発売)
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本棚登録 : 745
感想 : 78
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インパクト大なタイトルと表紙のイラストで気になっていた一冊。
柴田勝家さん、もちろん初読。
どれも違う味の、ものすごい幅の六つの短編が無理矢理ギュウッとかろうじて綴じられているような。SFって、こんなこともできるから面白い。

巻頭におかれた、『雲南省スー族…』はさすがの面白さ。星雲賞受賞に納得。
巻末、表題作『アメリカンブッダ』は、あまりにも大きいスケールと、あまりにも卑小な人類の愚かしさの対比に、そのスケールを同じ次元で測る物差しに凍結技術やAIをあてる発想に仰天。


『鏡石異譚』は、優しい未来を感じる物語。
“記憶子”という発想、物理学と民俗学とタイムトラベルのミックスは慣れない人には難解かもしれないけれど、わからないところは飛ばしていいから試しに読んでみて、とお勧めしたい。

「僕らは一人ひとりが無数の選択を繰り返して未来に進んでいくんだ。それと同じ数だけ、いつかは記憶の選択を繰り返して過去を作る時代が来るかもしれない」
「いくら未来に備えようとも、過去を書き換えようとも、自分の選択が誤っていたと思う時はあるはずだ。(中略)記憶を変えること自体は受け入れるけれど、僕は自分が後悔することも受け入れるよ」


そして、解説にも大笑い。
お、面白すぎる!!!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2021年4月3日
読了日 : 2021年3月30日
本棚登録日 : 2021年3月16日

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