忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)

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本棚登録 : 990
レビュー : 127
制作 : 土屋 政雄 
よえりんさん 小説   未設定

霧に覆われた記憶を頼りに息子に会いに行く老夫婦の旅路。骨太さと抒情さが同居した品のある文章が私は好きです。
シンプルな根源的な旅だからこそ思うことがいっぱい。
忘却の霧の危険性や、なにを信頼して、なにを疑うべきか、賢者達や剣士との出会いで、危険のなかにあってもあるべき心の持ちようを、忘却の霧の中から見つけ出してもらったみたい。危機や恐怖のなかでも、人でいられる術を教示されている気持ちでした。

忘却で憎しみの連鎖を断ち切り憎しみの相乗効果を減らしたいとクエリグの存在を善と捉えて守るアーサー王の甥ガウェイン卿と、忘却は結局争いを引き延ばしているに過ぎないという理由から悪と捉える屈強な戦士サクソン人ウィスタンとの一騎打ちにも、こころを揺さぶられずにはいられませんでした。

アクセルとベアトリス夫妻をはじめ登場人物の誰もが今は悪から遠い優しい人々で、皆平和を切望しています。
が、実はウィスタンはアクセル属するブリテンに裏切られた過去があり、ガウェインとアーサーは過去に同士、こんな小さな集まりにもいろんな感情が渦巻いています。
起こってしまった争いや痛みは、ウィスタンの言う通り忘却や霧では解決しない。私達ひとりひとりの心に愛と真理、道、いのちが必要です。

レビュー投稿日
2017年10月28日
本棚登録日
2017年10月12日
10
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