リアルワールド (集英社文庫(日本))

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本棚登録 : 1642
レビュー : 245
著者 :
yoichikurinさん 小説   読み終わった 

文庫版2006年初版。
BOOKOFFで108円で購入し積んでいたもの。ハードカバーも古本で買っていたが、未読のまま。
今回も、桐野毒に中てられた。

母を殺したミミズについて、「取り返しのつくこと」と捉えるテラウチの心の闇の描写が素晴らしい。
著者は、一歩間違えるとこうだった?

物語は、高校3年生の山十四子の隣の少年(ミミズ)が母親を殺し逃走。その際、十四子が自転車に忘れていた携帯ごと盗んで逃走する。ミミズは、十四子の携帯のアドレスにあった友達、レズであることに悩んでいるユウザン、可憐で純情のふりをしながら実は遊んでいるキラリン、頭が良く自己中毒に罹っているテラウチに電話する。
まず、十四子が警察からの取り調べに自分の自転車が使われたことを言わない。次に、ユウザンは別の形態を契約し、自分の自転車と一緒にミミズに渡す。キラリンはわざわざ逃亡中のミミズに高崎まで会いに行き、一緒に逃亡することになる。テラウチはミミズから犯行声明を書くことを頼まれるが、キラリンとミミズの行動の単純さが我慢ならず警察に二人の潜伏先を密告する。
警察が近くに迫っていることを知ったミミズとキラリンは、タクシー強盗をして東京に戻ろうとするが、ミミズが誤ってタクシー運転手を殺してしまい、タクシーが対向車に激突しキラリンも死んでしまう。
キラリンが死んだという知らせを十四子から聞いたテラウチは、キラリンたちが死んだことも理由の一つとして十四子に遺書を残して自殺してしまう。
密かに、テラウチを慕っていたユウザンは、卒業を前に学校に来なくなる。
こう書くと、絶望的な話だが、高校生の心情がよく書かれており、じぶんも若いころは自分を持て余していたなぁと思いながら読み、読後はちょっと切ない。

テラウチ
『私は大人が恐ろしくなった。病んだ心に手当てができると思いこんでいる、科学へのお目出度い信頼感を抱いている楽観に。そして、病んだ心を持つ子供に手当てをしなければならないと信じている大人の強迫観念に』
『愛する親が信じられなくなっても受け入れる子供は、いつしか自分を信じられなくなる。見ろ、ミミズ。これが「取り返しの付かないこと」なのだ。母親を殺すことなんかじゃない』
解説には、本当に取り返しの付かないことを「永久に終わらなくてずっと心の中に滞って、そのうち心が食べ尽くされてしまう怖ろしいこと」としているが、見つけ切らなかった。
タイトルは、テラウチの遺書から『わたしはリアルワールドに旅立つ。だって、自分の死こそが超リアルの中になるほんとのリアルってもんだろ』

レビュー投稿日
2016年1月24日
読了日
2016年1月23日
本棚登録日
2016年1月24日
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