屍者の帝国 (河出文庫)

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本棚登録 : 1941
レビュー : 194
Yoidaさん SF   読み終わった 

円城塔とは思えない振り切ったエンタメ成分は遺稿を書き継いだからこそではあるけど、テーマとしてはやはりどうしても思弁的になるんですね。
とはいえ、フランケンシュタイン自体が異端である所に端を発して、推理小説や怪奇小説に秘密結社という風にとにかく木を隠すなら森と言わんばかりの徹底した異端思想ストーリーになってるところに悪戯っぽさがある。
しかしこうしてみると19世紀はアマチュアの時代でもあるような気がしますね。エジソンもダーウィンも、近代国家としてのアメリカも日本もアマチュアじゃないですか。
そういった怪しげな根拠にもかかわらず時代は急速に進んでいく。そいつを駆動しているものこそ物語であるというところで怪しさは一回りして現実の世界に戻ってくる。
結局、自分が納得できる物語しか受け入れられないのであれば独我論の閉じた世界にいることと同じになってしまう。でも、ワトソンの物語はフライデーの裡に残り、伊藤計劃の物語は円城塔、そして読者の元に残った。
あくまで“軽い読み物”として構想されたということではあるけれど、たとえば21g分くらいの問いかけは受け取ったんじゃないかななんて考えている。

レビュー投稿日
2018年10月8日
読了日
2018年10月8日
本棚登録日
2018年10月8日
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