河童・或阿呆の一生 (新潮文庫)

3.71
  • (161)
  • (177)
  • (305)
  • (22)
  • (3)
本棚登録 : 1966
レビュー : 174
著者 :
陽花さん 小説   読み終わった 

 芥川龍之介作品は『河童』が一番好き。
 晩年の作品のなかで、小説として体裁を保てたギリギリの作品が『河童』だと思う。これ以降は文章がどんどん発狂していく。

 『或阿呆の一生』もこの本で読めます。私は「三十三 英雄」が好き。
君は僕等の東洋が生んだ
草花の匂のする電気機関車だ。
 初めて読んだ時ここで号泣した。なんかよく分からないんだけど、自分のことを書かれた気がした。よく分からないんだけど。

 佐藤春夫や川端康成が「最高傑作」と褒めたたえた『歯車』も収録されてます。これを読んでケロッとした顔でいられる人というのは居るんだろうか…。

 『河童』は絶対に新潮文庫で読むべし、と思っている。背表紙のこの作品紹介がスゴい。

「芥川最晩年の諸作は死を覚悟し、予感しつつ書かれた病的な精神の風景画であり、芸術的完成への欲求と人を戦慄させる鬼気が漲っている。出産、恋愛、芸術、宗教など、自らの最も痛切な問題を珍しく饒舌に語る「河童」、自己の生涯の事件と心情を印象的に綴る「或阿呆の一生」、人生の暗澹さを描いて憂鬱な気魄に満ちた「玄鶴山房」、激しい強迫観念と神経の戦慄に満ちた「歯車」など6編。」

 特に『歯車』の「神経の戦慄」というフレーズには震えた。まさにその通りだと思う。

 これを一冊読むと、芥川龍之介が何故自殺しなければならなかったのか分かると思う。

レビュー投稿日
2016年10月26日
読了日
-
本棚登録日
2016年10月26日
1
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『河童・或阿呆の一生 (新潮文庫)』のレビューをもっとみる

いいね!してくれた人

ツイートする