構造と診断 ゼロからの診断学

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  • 医学書院 (2012年5月21日発売)
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感想 : 9

診断とは何かについて根源的に考えられた本。
よくある診断学の本と実際の臨床との乖離を言語化して下さっていて腑に落ちることが多かったです。
診断とは現象に対して恣意的に名前を付けること。僕らに出来るのは現象が醸し出す雰囲気を掴むこと。その武器として、病気の知識、検査、診断手段(帰納法やオッカム・レザーなど)があるわけです。
それに加えて「~っぽい」という様なゲシュタルト(ヒューリスティックとは違います)やゲーム理論、文脈(患者さんの今までの経過=物語)など今まで無意識になんとなく行ってきたことも説明されています。
診断はほんとうに難しいです。
僕も以前に、高齢の方で透析中から徐々にお腹が痛くなり、嘔吐と下痢を繰り返すようになり、翌日に「症状はすべて治まったけど食欲がなくて」という訴えで受診した方が、腸管破裂+汎発性腹膜炎だったことがあります。症状に合わない高熱があるため撮った腹部XPがなかったら・・と思うと肝が冷えました。
診断を誤らせる状況を知り、検査前確率を高めるために自己研鑽しながら、個々の症例に悩みながら向き合うことがよりよい診断の一歩なんでしょうね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 岩田健太郎
感想投稿日 : 2012年8月12日
読了日 : 2012年6月7日
本棚登録日 : 2012年5月25日

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