黄金旅風

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本棚登録 : 181
レビュー : 35
著者 :
ともさん 時代小説   読み終わった 

時代は寛永五年(1628)から寛永十年(1633)、徳川の将軍が秀忠から家光の時代へと代わる鎖国前夜の長崎を舞台にした物語です。

南蛮貿易で財を成した末次家の総領息子、平左衛門は不肖の息子として実家から勘当されていた。
しかし父・平蔵が暗殺されたことにより長崎代官を継いだ平左衛門は父とは全く逆の行動をとり、人望を集めてゆく。
長崎のため。民のため。それだけを考えあらゆることにあたってゆく平左衛門。
やがて長崎奉行・竹中采女正重義が密貿易をし、呂宋(ルソン)侵略までを企てていることを知り、不正を上訴するという行動にでる。

大きなあらすじをいえば上記のようなものですが、これに外交問題、切支丹弾圧、幕閣の権力争いなどが絡み、またまたかなり骨太になっております。
しかしそのせいでエピソードが盛り込みすぎの感がありました。
登場人物も主役級の魅力的な男たちが多数登場したせいで逆に平左衛門が地味に映ってしまったり。
海に選ばれし男、末次船の船大将・濱田彌兵衛、平左衛門の幼馴染で長崎内町火消組惣頭・平尾才介、天才仏具鋳物師・平田真三郎などなど。

だけど読み終えてふと、これは人物が主役ではなく、長崎という街が主役であったのかと思いました。
誰もが皆、南蛮貿易に翳りの出てきた現状を憂え、行く末を心配しつつ、それでも長崎の為を想い行動していました。

教科書では一、二行程度の記述であったであろう長崎の当時の歴史がとてもよくわかりました。
なにより幕末の「開国か否か」のあたりばかり読んでいたので、当時このように自由に貿易できていたことに驚き、とても勉強になりました。

しかし飯嶋さんの作品は1ページあたりの活字の密度が濃いので普通の2.3倍時間がかかります。
それでも早く新刊が読みたいです。超寡作な作家さんですから次は一体いつになるやら??

レビュー投稿日
2010年9月30日
読了日
2006年6月19日
本棚登録日
2010年9月30日
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