谷崎潤一郎フェティシズム小説集 (集英社文庫)

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レビュー : 50
著者 :
yomikaさん 日本古典   読み終わった 

「谷崎先生の、自己フェティシズムフェチ。」

至宝の女体に施した刺青が女の性分までを一変させた表題作「刺青」、自分を秘密の楽園に誘ったモノとは…「悪魔」、その一部に憎しみを抱いたが最後どこまでも憎み続けずにはいられない「憎念」、隠居と僕を虜にした足「富美子の足」、女が身にまとう洋服への妄想と執着を描く「青い花」、もはや自虐的な「蘿洞先生」6編収録。

まずはおさらいしときましょう。
性的フェティシズムとは

「異性の肉体の一定部分や、女性が身につけている衣服の断片あるいはそれと密接な関係にある物体などに性的な興味が集中し、それらに異常な強度をもって性欲を刺戟される倒錯性」(解説より)

谷崎先生、噂通りの変態ですな。

とくに足に対してのこだわりは大変なものだったらしい。
「神」ともあがめる足の持ち主である若いお妾さんの、その足に
額を踏みつけられながら大往生、なんてもはや想像を超えている。

ここには、とりあえずそうしたフェティシズムを持ち合わせない人にとっては
「あなたの知らない世界」が繰り広げられています。

一つ一つにはまあ目が点になったりするのですが
この短編集全体を俯瞰してみてみると
谷崎先生は自身のフェティシズムに相当な興味があったのでは?
なんていうことが感じられてきたりするわけです。

女体に施す刺青であったり
鼻水まみれのハンカチであったり
顔の上の足であったり
女の皮膚の一部と思える洋服であったり
書斎の机の上でのお尻ぺんぺん、これはもう漫画ですが

大好きなおもちゃを上げてみたり下げてみたりいろんな角度からそれを眺めて飽きない
谷崎先生の子供のような無邪気さがそこには見えてくるのだわ。
もう自身のフェティシズムこそがフェチの対象になってます。

でもその自己観察の鋭さやこだわりを突き詰めて見せたところに
近代文学の名匠としての谷崎潤一郎があったんだろうなあ。

本短編集、作品のセレクトそのものはもちろんですが装丁もいいです。
表紙の尺八と三味線を持った妖しげな制服姿のおねえさん、
背徳の香りを漂わせつつもモダンでからりとしたその表情は
谷崎先生の無邪気なフェティシズムをヨシヨシするかのよう。
編集の妙にも拍手。

レビュー投稿日
2014年5月25日
読了日
2014年5月24日
本棚登録日
2014年5月25日
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