やせれば美人 (新潮文庫)

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本棚登録 : 191
レビュー : 39
著者 :
yomikaさん エッセイ   読み終わった 

「キミよ、そのままで行け。」

抱腹絶倒、妻と夫のダイエット奮戦記。
身長158センチ体重が80キロに届くというこの奥さん、
ご主人の必死のお勧めにもかかわらず、ああ言えばこう言うで
一向に真剣にやせようという気持ちが起こらない。

「やせれば美人」という根拠の無い確信を以ってあくまで強気、
時には愛あればこそ恐る恐るながらも様々なダイエットを提案するご主人に攻撃的でさえある。
それにもかかわらずこの奥さん、同性から見てもかわいい。

女の目は辛い。
よっぽどのことがなければ同性を心底かわいいとは思わない。
それは女のかわいさはしばしば狙って演出されるものであることを知っているから。
それは少しでも優秀なオスをモノにするための
メスの生まれながらの習性というのはよく知られるところだが。

その点この奥さんには狙ったところがない。
しかも相手はご主人だから言ってることは額面通りの本音。
その妙な説得力と自信に溢れたものいいには、掛け値がない。
そのみもふたも無さが小気味良い共感を呼ぶ。
彼女をしてかわいいと思わせる。
まさに確信犯なのだ。

「私は汗をかきたくないのよ」
 
「それに、どうすればやせるかなんて、わかってる」

「大切なのは見た目でしょう。号数なんてどうでもいいのよ。美しく見えれば」

この自信はどこから来るのか。
間あいだにご主人である著者の弱々なツッコミが入り、
名言を名言たらしめている。究極はやはり


「努力には〝美〟がない」

ただ、これがまた微妙なところなのだが
この共感は彼女がその体型で言えばこそということもまた真なり。
同じことをスラリとした美人が言うのではしゃれにもならない。
女の総スカンをくらうことは間違いない。

デブでも良い。
女の共感は得がたい宝。
キミよ、そのままで行け。

レビュー投稿日
2013年5月22日
読了日
2013年5月19日
本棚登録日
2013年5月19日
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