禍々しくも気品ある恐怖の世界
何者かが蠢く空家、背筋が冷たくなる偶然、邪悪な秘法など、モノクロの線描で特異な世界を表現するエドワード・ゴーリーセレクトの12話からなる怪談アンソロジー。
どの話にも扉にゴーリーの挿絵がついている。モノクロの線描で表現されたそれらは、各話のイメージがゴーリーの独特な作風で集約されている。このため、著者が異なり恐怖の味わいはそれぞれであるのにもかかわらず、全体として禍々しくも気品のあるゴーリーホラーワールドとなっている。
以下は私的感覚的各話の感想。
「空家」
「一目見ただけで邪悪だとわかる建物」は内部も期待を裏切らない…きゃー!
「8月の炎暑」
全く縁のない場所で自分の墓石見つけちゃったら…ぞわわ
「信号手」
事故を招くそのしぐさに…ぞわー
「豪州からの客」
楽しそうに歌う子供たちと童謡の歌詞の内容のギャップが…ぞわわ
「十三本めの木」
恨まれ続けて300年の屋敷。庭の石壁の笠木の上で「こんもりと横に広がり、壁をよじ登ろうとしている人間の上半身にそっくりの形をしていた」黒っぽいツタ…自分の本書一番のぞわーポイント。
「死体泥棒」
雨の夜、死体を盗み出して逃げる馬車の揺れが招く恐怖…ぎゃあ〜!
「大理石の軀」
教会で大理石の石像として封じ込まれた邪悪な騎士のお出かけ先は…きゃー!
「判事の家」
判事はいるんです。今もこの家に…ぎゃあ〜!
「亡霊の影」
ストーカーまがいの医者が北極探索で犯した罪の報い…ぞわわ
「猿の手」
奇怪な「猿の手」のまじないによって死んだ息子は、同じく「猿の手」のまじないによって生き返ったが…ぎゃあ〜!
「夢の女」
ゴーリーの描いた扉の女が怖いんですけど…きゃー!
「古代文字の秘法」
その秘法の威力にもまして姿の見えない敵意が怖い…ぞわー
恐怖レベル
ぞわわ …レベル1
ぞわー …レベル2
きゃー! …レベル3
ぎゃあ〜!…レベル4
ちなみに1と2は心理的に、3と4はビジュアル的に。
- 感想投稿日 : 2016年11月13日
- 読了日 : 2016年10月30日
- 本棚登録日 : 2016年11月13日
みんなの感想をみる