ハルビン・カフェ

  • 角川書店 (2002年4月26日発売)
3.25
  • (8)
  • (10)
  • (24)
  • (5)
  • (4)
本棚登録 : 98
感想 : 10
3

つらぬくのは、愛か、復讐か。そして動乱の7日間が始まった!

--------------------
物語の舞台は福井県の西端にある、新興の港湾都市。
ある程度、現代との地続きを思わせる未来の、ロシアと中国と朝鮮人によるそれぞれのマフィアを持つ、生き残ることの厳しい都市・海市(かいし)。
かつて、マフィアによる警官の殉職率が高く、愛しい人を失った遺族たちが報復としてテロを行い、警官はマフィアと内部に潜むテロの支援者を炙り出そうとしていた。これらのルーチンワークにより、さらに復讐心を胸に潜む者が増え、海市の法秩序は悪化の一途を辿っていた。

とある都内での事件をきっかけに、かつてテロの支援者を炙り出そうとした刑事たちが再びこの港湾都市へ赴く。
そして、再び海市で多くの人々が血を流すことになった。


400頁にも満たない単行本、手にしてもそれほど分厚くないのだが、癖のある文体のせいか読み終えるのにかなり時間が掛かった。
途中で疲れて何度も表紙を閉じたし、読み始めて30頁もしない間に読み続けるのが辛いとも感じた。

それでも、最後に何が待ち受けているのか、その答えが知りたくて読み進めた。
読み進めるほど、謎は明かされて、更に深い謎が提示される。
物語の区切りを迎える度に、語り手が変わりそれぞれの人物が胸に秘めている事実を知る。もしくは、彼らの目線から新しい事実が差し出される。
そして、次は誰が殺されるのだろうと想像する。

7日間の物語の間に、かつての騒乱の物語が挟まれるせいか、あまりにも簡単にパンパンと人が死ぬ。あの人も殺人を犯す、この人も銃口を人に向ける、この少年もあの少女も銃を手にする。
かなり陰鬱な作品。

物語を読み終えても、どことなく腑に落ちない印象が拭えない。全ての事実を読み終えて再び頭から読み直したい衝動に駆られるが、たぶん、冒頭で力尽きてしまいそう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2013年9月9日
読了日 : 2013年9月9日
本棚登録日 : 2013年9月9日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする