「だったら●●を読むよ」が、この人だけに限ってはなかなか通用してくれそうになくて、なぜなら今さら感をガン無視でベタに私小説を書き続けるというのは、今はもうすごく骨の折れることだと思うから。でも、ほんとうにおもしろいと思ったのは、徹底して私小説を書こうとする姿勢じゃなくて、「私小説をベタに書く」っていう、そういうところで読み手の混乱を誘発できるところだと思う。リアリズムはつまり現実的じゃないからこそいえるのだし、だいいち私小説はあったことをネタとして書こうとするぶんだけ嘘になるのだから、私生活を赤裸々に書くなんてすげえ! という話ではないのだから、それを考えたうえでベタにやろうとしているように見えるところのカオスな感じが、ベタに読もうか考えながら読もうかで、またちがった良い意味での混乱を産み出せているのかもしれない。弱点は一冊読めば良い感の強さ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2011年2月13日
- 読了日 : 2011年2月13日
- 本棚登録日 : 2011年2月12日
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