葉隠 岩波文庫 上巻 武家の倫理規範の本。名言が多い。
葉隠は 三島由紀夫や「武士道とは死ぬこと見つけたり」の過激さに引っ張られて、死のイメージが強いが、主君に仕えるという道を全うするために 武士の規範を記したものであって、死と結びつかない部分もある
常住死身や死狂いの覚悟は、死ぬことは いつでもできる というメンタリティ。
主君の死を追って殉死するのではなく、死ぬことはいつでもできると思いながら、生きて 主君の仇を討つことが、「武士道とは死ぬこと見つけたり」の意味。
死ぬことは いつでもできるという メンタリティが 「五輪書」「論語」にない 葉隠の魅力なのだろうが、この刺激的なメンタリティに心頭してしまうと、読書が毒書になる気がする。
葉隠は、武士としての自己鍛錬 と 人間としての自己鍛錬を論じており、人間としての自己鍛錬部分は 処世術としても読める
*自己判断を捨て、古人の金言を聞いたり、人に相談すること
*道とは 我が非を知り、一生打ち置かないこと
*礼儀により、人から引き立てられて 大器晩成に至る
*仕合せの時は 自慢、奢りに要注意
*不仕合わせの時に くさる者は役に立たない
ビジネス書にあるような「主君のための自己犠牲の精神」と 「愛社精神」を同一化させる ステレオタイプや全体主義的な論調には違和感がある。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年1月2日
- 読了日 : 2020年1月2日
- 本棚登録日 : 2020年1月2日
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