五木寛之 「風の王国」 国家の枠に属さない放浪民族の末裔が主人公のアイデンティティ小説〜自分は 何者なのか、自分は どこから来て、どこへ行くのか を問うている。著者は、現在の自分が自由になるために過去を知る必要があるとしている
山と里のあわいを流れる放浪民族は〜社会の血液であり、社会に活力と生命を与える必要な存在としており、放浪民族の生き方(アイデンティティ)に 日本人の心や超国家思想を見出しているようにも読める
タイトルの「風」は 放浪民族の生き方(移動性や不定住性)や 跳ぶような歩き方をする放浪民族の象徴なのだと思う
放浪民族の生き方(アイデンティティ)
*相互扶助と自然共生〜自分が大きな有機体の一部である生き方
*勝つか負けるか、決断を迫られたときは〜負けて世間の陰を流れて歩く〜世間から離れ一所不住の道をゆく
*前進をやめて後退する生き方〜取るのでなく捨てる生き方〜土地を捨て、安住を捨て、身体ひとつで流れて生きる
市民生活に溶け込みながら、強大な経済力と暴力装置を持ち、秘密結社化して王国を再生した一派との対立構造は、放浪民族の本来の生き方(アイデンティティ)を理解する一助になる
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年4月30日
- 読了日 : 2022年4月30日
- 本棚登録日 : 2022年4月27日
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