天災と日本人 寺田寅彦随筆選 (角川ソフィア文庫)

著者 :
制作 : 山折哲雄 
  • 角川学芸出版 (2011年7月23日発売)
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感想 : 20
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地震の研究もしていたし、文筆家としても名高い寺田寅彦の随筆から、地震をはじめとした天災に関したものを編纂した一冊。もちろん3・11を受けてのものだ。関東大震災時の日記から昭和10年くらいまでの折々の天災(主に地震と台風)に関して書かれたものが収録されている。少なくとも70年くらい前に書かれたものだが、昔から人が住んできた地区は大丈夫なのに新造成地ばかりが地震の被害に遭っているとか、地震のない西欧の建築をそのまま真似しているとか、天災のパニックからか尋常に考えればありえないデマ・風評を信じる人がいるとか、いま読んでも十分に納得できる。ただし、ということは、私たちはまた同じ轍を踏んだということでもあろう。
一方で、日本人は日本人なりに、天災とそれなりにうまくつき合ってきたとも述べている。あえて簡素で壊れやすいつくりの家屋文化や、天災に対するあきらめのよさなど。自然を征服するものでなく、謙虚につき合っていくことの大切さも説いている。
70年前から本書に述べられているような考えがあったというのに、3・11で同じ轍を踏んだというのは、一方では学習能力のなさ、備える意識の欠如であるとともに、もう一方では、このような被害は茶飯事と考える日本人なりの連綿と続いてきた天災との仲と考えてもいいのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2011年10月9日
読了日 : 2011年10月7日
本棚登録日 : 2011年10月9日

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