世間とズレちゃうのはしょうがない

  • PHP研究所 (2020年10月14日発売)
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解剖学者だからとか、芸人だからではない。二人の「世間との付き合い方」のズレが生み出すトークに熱中します。

昨年発売日に購入して、久しぶりに再読した本です。
バカの壁でベストセラー作家になった養老孟司さんと、毎週深夜ラジオでお世話になっている伊集院光さんの対談集。

視点が絶妙な人と、話が面白い人が対話したら、、、とても面白いのではないか?と期待していましたが、思ったとおりでした。熱中できる楽しさです。


この本になぜ熱中できたか。楽しさの理由は、作中の言葉を借りれば「世間の内と外」両方を意識した言い回しをしているからです。

どういうことか。例えば、養老さんが解剖学について終始話していたら、それは面白くありません。私は医学生ではないし、解剖学のアカデミックな話を読みたいわけではないからです。

話題の中心を私達が共感できること、例えば小学校時代の思い出とか、ラジオ番組とか、はたまた終戦直後の思想教育とか(これは年配者しかわらかないか)に据えている。これが世間の内側だとしたら、そのテーマを外側から観ている。

解剖学者という知見と、御本人の「ちょっと世の中から一方引いた」生き方からみんなが知っている話題を語ってくれるからこそ面白いのです。


伊集院さんはどうか。彼は本業ラジオパーソナリティーですね。かれのトークの面白さを考察すると、同じポイントがあることに気づきます。

誰もが知っている話題、例えば今年でいえばオリンピック、パラリンピックですね、を冒頭に話し出す。それでいて、その1つの種目に着目して、意外な言葉を発してくる。

それも、お昼の情報番組のように、是か非か、善か悪かの話題ではない。そもそも、その判断がさ・・・といったそもそも論を語りだします。
深夜の下世話な番組のようでいて(ほとんどそうなのですが)、突然新書本のような考察を混ぜてくる。長年この面白さに魅了されています。この本の中でもそのトークの姿勢は崩れていません。それどころか、東大元教授の養老さんをして「君は本当に理屈っぽい」と言わしめる始末です。
大学教授お墨付きの理屈芸人、素敵ですね。


本の内容は、世間と自分とのズレは何なのか?どう付き合っていくべきか?といった話題。分野を問わず、共感するフレーズが多いと思います。

学校、職場の人と、ちょっと話が合わないな、と思ったらクスリ代わりに一服することをオススメします。


似たような本:友達幻想 嫌われる勇気 生の短さについて

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 心理学
感想投稿日 : 2021年10月17日
読了日 : 2021年10月17日
本棚登録日 : 2021年10月17日

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