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こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち (文春文庫 わ)
- 渡辺一史
- 文藝春秋 / 2013年7月10日発売
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タイトルの雰囲気にひかれて読み始め、かなりの大著ながら、3日ほどで読み通すことになった(kindle版)。ケアをし、ケアをされることの、抜き差しならぬ状況に胸がつまる。しかし、つまりながらも、これが日常なのだ、生きるということなのだ、という声も聞こえる。平和ぼけならぬ、健常ぼけの私も、遠からずケアされる側に回る確率が高く、同じように生きる覚悟はあるのだろうか。
2015年9月8日
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命の格差は止められるか: ハーバード日本人教授の、世界が注目する授業 (小学館101新書)
- イチロー・カワチ
- 小学館 / 2013年7月31日発売
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社会疫学書は自然科学書と言ってよいか、という問題はあるかもしれないが、ハーヴァード大学で活躍するもう一人のイチローの名著。臨床医学から公衆衛生学に転身して活躍している研究者は何人もいるが、この人の語り口はとりわけ心地よい。文科系の学生さんにも、いや、にこそ、一読をお勧めする。ポピュレーションストラテジーの意味がよくわからない人にはとりわけ。
2013年11月28日
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危機の大学論 日本の大学に未来はあるか? (角川oneテーマ21 A 146)
- 尾木直樹
- 角川書店(角川グループパブリッシング) / 2011年11月10日発売
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大学論──いかに教え、いかに学ぶか (講談社現代新書)
- 大塚英志
- 講談社 / 2010年3月18日発売
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各方面で絶賛されているので読んでみた。若いころに読んだら、派手な展開のないストーリーに少し違った感想をもったかもしれない。しかし、人生の終わりがみえてくる年齢になった今は、この静謐で、しかし、さまざまな思いを封じた熱が、閉じこめきれずに放射されるような世界に共振していた。語られていない、さっと経過が記されただけの、あるいはこの物語の後の出来事に想像が広がる。そしてそれは語られないからこそ、熱を失わないのかもしれない。叙情なのか叙事なのか、透徹したリアリズムということなのか。出会ったことのない鳥たちが話のおりおりで彩りを与えていることも、個人的には良。
2013年9月15日
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いい奴じゃん (講談社文庫)
- 清水義範
- 講談社 / 2011年10月14日発売
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清水義範さんの著作は、一時、あらゆるものを読んでいた気がする。自分で買う娯楽本は文庫落ちになってからを原則としていたなかで、かれの作品はハードカバーも厭わずに購入していた。いわゆるパスティーシュ系が中心だったが、『学問のススメ』とか、若者小説も、(こちらはもう30歳を過ぎていたのに)けっこうはまっていた。それがなんだか蘊蓄系や、人間観察系に傾きだして、ちょっと遠ざかっていた。『虚構市立不条理中学校』を再読する必要が生じて、amazonでかれの著作を検索したときに本書がひっかかって、昔のかれの世界がどうなったかが気になり、久しぶりに試しに読んでみた。やはり文章の達者さは相変わらずだし、何者でもない自分に対して、何者かにならなくてはという焦りをかかえた25歳に焦点を当てたのも、周りにいる学生たちの姿をみていると、なるほど目の付け所がいいなと感心した。お話はまあ、ご都合主義なところもあるし、現実味という点からすれば、ちょっとファンタジーという気もするが、気持ちよく読める、読んで気持ちよくなる、という私の「青の本」の選定基準からすればどんぴしゃである。運の悪さをこれだけ肯定的にとらえられる主人公の心性は、絵空事のようであって、でも、こうした「根拠のない自信」はリアルな現実世界でもかなり重要なことだろう。続編が出るようなら、私はまた読んで、気持ちよくなりたい。
2013年9月11日
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旗を立てて生きる──「ハチロク世代」の働き方マニュフェスト (就職しないで生きるには21)
- イケダハヤト
- 晶文社 / 2013年6月15日発売
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わが盲想 (一般書)
- モハメド・オマル・アブディン
- ポプラ社 / 2013年5月15日発売
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鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (生物ミステリー)
- 川上和人
- 技術評論社 / 2013年3月16日発売
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天地明察(下) (角川文庫)
- 冲方丁
- KADOKAWA / 2012年5月18日発売
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天地明察(上) (角川文庫)
- 冲方丁
- KADOKAWA / 2012年5月18日発売
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捨て猫という名前の猫 (創元推理文庫)
- 樋口有介
- 東京創元社 / 2012年3月11日発売
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中年青春小説か。ストーリーはデジャブ感があるいつもの内容だが、結局たいていの新刊を(最近は文庫で)読んでしまうのは、会話の妙というか、諧謔性を楽しむためなのかもしれない。万人にお勧めできるわけではないが、私はまた読んでしまうのだろう。
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生活環境主義でいこう!―琵琶湖に恋した知事 (岩波ジュニア新書 594)
- 嘉田由紀子
- 岩波書店 / 2008年5月29日発売
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新装版 ほぼ日の就職論「はたらきたい。」 (ほぼ日ブックス)
- ほぼ日刊イトイ新聞
- 東京糸井重里事務所 / 2010年4月26日発売
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オモシロイ経緯で読まされた(笑)本ではあるが、働くこと(就職)に向き合わなくてはならない若者たちのことを考え、結局は自分が働くことを考えている今、縁のあった本なのだろう。個人的には矢沢永吉が「子分の才能がない」と言っているところが面白かった(たまたまNHKで矢沢永吉のスペシャル番組を見たばかりだったこともあり)。何が面白かったかというと、「就職の採用側は、一緒に働きたいかどうかを見ている」という一つのテーゼを読んだとき、私の周りに多い学生たちは「親分の言うことは何でもします、どこまでもついていきます」ということが「一緒にはたらきたいと思ってくれる」ことだとすぐ結論づけちゃうんじゃないか、ということだ。つまり「私には子分の才能があります!」という自己評価。それもありなんだろうという気はする。そうした学生が将来、採用する側に回ったときは、まず間違いなく「俺の言うことはなんでもきく子分」を採るだろう。それで会社が回っていけるなら、たしかに、何も困らないかもしれない。しかし、…ということは、もう一度ゆっくり考えてみよう。それはそれとして、この本との縁をもたらした学生、この本に登場する人物のなかに、自分と同じ大学の卒業生が2人いることを知っているのだろうか。
2012年9月30日
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就活の勘違い 採用責任者の本音を明かす (朝日新書)
- 楠木新
- 朝日新聞出版 / 2010年9月10日発売
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神様のカルテ (小学館文庫)
- 夏川草介
- 小学館 / 2011年6月7日発売
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読書に気持ちのよさを求める読み手としては大当たり。安曇さんの旦那さんの天狗の話でちょいと目に湿り気が生じたが、気持ちのよさは、そうした旦那さんを理解して嬉しがる安曇さんであり、主人公の生き方を笑顔で照らす細君にある。現実との対比か(笑)。第2巻はまだ読んでいないし、コミックや映画は見ていないが、たぶん、これはまず小説で読むほうがいいんだろうなというのが私の予想。
2012年9月5日
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SPEED (角川文庫)
- 金城一紀
- KADOKAWA/角川書店 / 2011年6月23日発売
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フライ,ダディ,フライ (角川文庫 か 50-3)
- 金城一紀
- 角川グループパブリッシング / 2009年4月25日発売
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レヴォリューション No.3 (角川文庫)
- 金城一紀
- KADOKAWA / 2008年9月25日発売
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対話篇 (新潮文庫)
- 金城一紀
- 新潮社 / 2008年6月30日発売
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