Noise

  • William Collins (2021年5月18日発売)
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感想 : 3
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「ファスト&スロー」で著名なダニエル・カーネマンが共著者として名を連ね、人の判断を誤らせる要因である「バイアス」と「ノイズ」のうち、軽視されがちな後者に焦点を当て、その発生のメカニズムや対処策を整理した一冊。

経営者による企業戦略から、医師が行う診断や裁判官が下す判決に至るまで、我々の社会は多くの「判断」に依存している。著者は、複数の人が同様の傾向で判断を誤る「バイアス」については様々な分析がなされる一方、複数の人や同じ人でも時と場合によって判断の”ばらつき”をもたらす「ノイズ」については見えにくく、これまでバイアスほどには注目されてこなかったが、統計学的にみればノイズもバイアス同様、また条件によってはバイアス以上に判断の誤謬要因になっていると主張する。

著者はまた、判事や指紋鑑定人、保険引受人といった客観的な判断が不可欠な専門領域において、我々の想像以上にノイズによる「汚染」が放置されている現状を、複数の実験結果をもとに示した上で、ノイズを”見る目の厳しさ”が人によって異なる「レベルノイズ」、個人の価値観や経験がもたらす判断の傾向の違いである「パターンノイズ」、さらにはその日の気分や天候といった外部要件によって判断が左右される「オケーションノイズ」3つに分類した上で、対応策を提示する。

具体的には、意思決定の要素を細分化した小項目毎に、外部視点も取り入れながら、独立した形で中間的な判断を行った後に、総合的な最終判断を行うことにより、ノイズがもたらす汚染を最小化した「衛生的な意思決定」が可能になるという。著者の提案は、ともすれば機械的な基準やルール、アルゴリズムに頼り、人間性を否定するものとして批判的に受け止められる可能性もあるが、その人間性がいかにノイズに晒されているかを考えれば、本書の主張はより適切な判断を下せるようになるための貴重なアドバイスとして受け止めるべきだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 自己啓発
感想投稿日 : 2021年10月24日
読了日 : 2021年10月24日
本棚登録日 : 2021年10月24日

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