帰れぬ人びと (文春文庫)

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本棚登録 : 285
レビュー : 28
著者 :
わをんさん 日本文学   読み終わった 

タイトルから察しがつくかもしれないけれど、一般的な「幸福な終わり方」と呼べるものは、4篇中「かもめ家物語」1篇しか見当たらない。
他は、明るい方に向かって見えても、まだどこか悩みや苦しみの中にいる。
それなのに、読後感にやるせなさと呼べるものは、ほとんどなかった。
虚しさ、というか、それに近いものはあったけれど、追い詰められたようなものはない。
改めてなぜだろう、とページをめくっていて、気づいた。
あ、そっか、みんな生きているからだ、と。
前に読んだ『葉桜の日』もそうだったけれど、溺れそうでも、あがいていても、這いずっていても、私はこの人の作品を読んでいて、明確な死を感じない。
生活している気配が、そこかしこに染み出ている。
だから、陳腐な言い方になるけれど、読み終えた後に、「ああ、今日も生きていこう」という気持ちになる。
元気づけられるのとは違うけれど、そういう気持ちも大事なのではないだろうか。

レビュー投稿日
2015年11月25日
読了日
2015年10月30日
本棚登録日
2015年10月30日
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