パノラマ島綺譚 江戸川乱歩ベストセレクション (6) (角川ホラー文庫)

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本棚登録 : 532
レビュー : 49
著者 :
Zakiさん 日本文学   読み終わった 

アートって、きっと人間の業とか、そういうどろどろしたどす黒いもんから発せられる表現なんだと、江戸川乱歩の作品を読むと感じる。
作品中で描かれる狂人や偏った性癖のある人などの特徴は、探せば僕らのこころの中にもきっとあるのだろうと思う。

この本には

「パノラマ島奇譚」
「石榴」

の二作品が収録されている。
そのどちうらもが、類稀な、江戸川乱歩作品ならではの風合いと感触を持っている。
まるで見てくれがとても綺麗で小さくてとてもかわいいが、口に入れて咀嚼するとなんとも醜悪な味や匂いを発するお菓子か何かのような感じがするのだ。

世にも恐ろしい犯罪や兇行は、たった一人の人間のこころのなかに潜む美意識や欲望であったりするのだろう、とそういうことをまざまざと覚えさせられる。

江戸川乱歩はやっぱり天才だ。
そして狂人であると思う。
そういう意味で唯一無二の才能だ。

更に恐ろしいのは、言葉選びや、感じや、劇中の人物の喋り方や服がやはりどことなく古めかしいのにも関わらず、ストーリーの内容が新鮮であると言うことだ。
驚くなかれ、この「パノラマ島奇譚」は大正時代に発表された文章なのだ。
更にまるで美しいタイムカプセルか何かのような感じもある。

本当に江戸川乱歩は美しい小説家であると思う。

レビュー投稿日
2010年4月6日
読了日
2010年4月6日
本棚登録日
2010年4月6日
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