初めて読んだ咲乃さん作品。 『オカンの嫁入り』は映画にもなってるけど未読。 おとなしい主人公が大阪弁で紡ぐ優しい物語。
自分はBL読みだけど、これはBLじゃないと思う。 昭和のホームドラマのような温かい家族に起こる大事件、長男が「僕の彼氏です」と恋人を紹介してのカミングアウト。
誠と心さんの恋人同士としての描写もあるけれど、性的な表現よりも、人を好きになった時の「誰かを愛しいと思う気持ち」の描写が共感を生む。 年齢や性別を抜きにした、片想いの切なさや恋人と過ごす甘い時間を丁寧に書き表している。
そこに「同性同士」という障害が立ちはだかる。 簡単には祝福されない関係に悩み、誰かとぶつかる度「もっと良い方法はなかったのか」と悩み、それでも一つひとつ乗り越えながら気持ちを強くしていく。
個性的な家族と、大阪っぽい人情を笑いでくるむような周囲の人たちが愛しく描かれていて、読みながら何度も泣かされた。 フィクションならではの「最後はドラマみたいに上手くまとめるな~」という盛り上げ方さえも、嬉しくてニヤリとしてしまう読後感。
人生には良いことばかりではないけと、こんな幸せがあってもイイよね。とホッコリさせてくれた作品。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2014年2月9日
- 読了日 : 2014年2月9日
- 本棚登録日 : 2012年9月9日
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