原作の映画化ではなくあくまでもミュージカル版の映画化。
1987年ごろ始まったばかりの日本版を帝国劇場に観に行った。キャストは鹿賀丈史、滝田栄、島田歌穂、岩崎宏美、斉藤由貴、斎藤晴彦などだった。素晴らしいセットで大掛かりな商業演劇も悪くないと思った。何と言っても(今回の映画もそうだが)楽曲が素晴らしかった。音楽の力の大きさを感じる。
歌について、コメンタリーやメイキングを観て驚いたのは、演奏にに合わせて役者が歌うのではなく、役者の歌に合わせて後からオーケストラを録音していたことだ。ギター1本とかバンドくらいなら合わせられそうだが、オーケストラである。どれだけ時間と労力をかけているのか。
舞台の映像化ということではあるが、ズームや壮大なCGなどで映画ならではの飽きずに観てられる。CG使い過ぎかな?とはいえ30年前の人が見たら驚愕の映像だろうな。
それだけくっきりした映像であるがため、一方で歌詞が冗長に感じられる。舞台などで遠くから観て、表情や動きが判然としないような状況なら物語への没入の一助となるが、映画では見えすぎているくらい見えているので、歌詞が感情や状況を語り過ぎているように感じられる。
音楽によって、シーンごとに感動はするんだけど、全体的に何だか駆け足。感動したように感じられたのも観劇経験があったからかも知れない。とはいえ監督トム・フーバーの手腕は素晴らしい。もちろんヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ、アマンダ・サイフリッドら役者陣の歌唱、演技共に素晴らし過ぎる。
ちょっとした提案というか疑問なのだが、前半で死んだファンティーヌ役のアン・ハサウェイが再登場するシーンがあるのだが、あそこは本来の姿である長髪の方が良かったのではないか?ジャン・バルジャンが見た夢と解釈したら坊主でも仕方ないかも知れないが。
- 感想投稿日 : 2015年5月10日
- 読了日 : 2015年2月22日
- 本棚登録日 : 2015年5月10日
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