社会学の入門書。「よいコミュニケーションとはなにか」という問いを出発点において、コミュニケーションということについて考えようとする。
著者と同じ名前の(!)奥村隆というひとが何人かの人をつぎつぎと訪ねていって、話を聞いて、質問して、応答されて、それにまた応答して、やりとりする。「架空の訪問記」という形式は読書=対話みたいな含意なんだろうか。著者奥村隆が誰かの本を読みつつ考えたことが、主人公奥村隆がその人と対話しつつ考えたこととして書かれている。
主人公奥村隆はえんえんと自分のことしか考えていないような感じで、対話の相手の誰からも決定的には影響されきらなくて、あ、この人なんかいってるなあ、ふうん、みたいな、態度が崩れない。近づきすぎず離れすぎないのがよい、ような気がする。
序章から終章までが緊密にというか、有機的にというかひとまとまりになっているような本ではなくて、各章はけっこう断片的で、まとまってない。「私はコミュニケーションが嫌いだ」といって始まって「私はコミュニケーションが嫌いだ」といって終わる。
主人公奥村隆みたいにコミュニケーションが「嫌い」というほど厭ではなくても、コミュニケーションに「困る」とか「疲れる」とか「いやけがさす」ようなときに、必要があって「よいコミュニケーション」を外に想像してみようとするときに、うまくすると使えそうだとおもう。全然使えないかもしれないけど
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
学術書系?
- 感想投稿日 : 2015年7月4日
- 読了日 : 2015年6月
- 本棚登録日 : 2015年7月4日
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