人魚の嘆き・魔術師 (中公文庫 た 30-11)

著者 :
  • 中央公論新社 (1978年3月10日発売)
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感想 : 97
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『人魚の嘆き』は、綺麗という感想と同時に小狡いなぁとも思う作品だった。

海に帰るために必死に言葉を尽くす人魚のすべてが、わたしには嘘に聞こえた。
たぶん貴公子にもそう聞こえていて、そのうえで騙されることに喜びを感じでいるような。そんな感じ。

すべてを持ち、みなに崇められてきた貴公子にとって、手が届かない存在がある状態は、一種の希望だったのではないだろうか。
それを永遠にするためには、人魚を海に返すしかない。
そして再び相まみえる希望を抱きながら、何も得られずに死んでいく。

そうだったらいいなぁ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2024年6月13日
読了日 : 2024年6月13日
本棚登録日 : 2024年6月11日

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