明治生まれ、戦争を経験したのち駆け落ちしたお二人なので、激動も激動の人生です。大橋さんの会社の設立絡みでトラブルになって、沢村さんが暴力団の事務所を訪ねて煙管片手の女親分さんに直訴するシーンはまんま映画でした(すごすぎる)。そんなお二人なので、引退後に越した湘南のマンションで晩年を穏やかに過ごされた、というのは全く無関係の私にもうれしいことでした。
二人交代で五十年史を書くという約束は果たされなかったわけですが、大橋さんの遺構に続けて沢村さんが書き、最後に再び大橋さんの「別れの言葉」で綴じる構成がとてもよかった。これは沢村さんでなくても泣いてしまう。
―思いがけず、あなたのほうが先になったけれど、私も間もなく、大喜利の幕がしまるでしょう。そうしたら、すぐ、骨にしてもらって……床の間の、あなたの骨といっしょにして、細かく砕いて、相模灘に流してもらうように―――(中略)手つづきいっさいすませてありますから、安心していてくださいね。(187P)
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
エッセイ
- 感想投稿日 : 2023年9月30日
- 読了日 : 2023年9月30日
- 本棚登録日 : 2023年9月22日
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