私の台所

  • 暮しの手帖社 (1981年1月1日発売)
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本棚登録 : 71
感想 : 10
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「私の浅草」は主に明治時代の幼少期の思い出話でしたが、一気に時代が進んで「カップラーメン」とか「電子レンジ」とかいう単語が出て来るので、まずギャップに驚きます。時代が変わってお年を召されても自称明治女の気質は失われず、くるくる家事や女優のお仕事をこなしていくお姿が小気味よいです。(常にデレンコと過ごしている自分が恥ずかしくなります…)あと、お考えがものすごく先進的だなと令和の今読んでも思いました。折を見て再読したい一冊です。

―でも―私はときおり、苦笑している。人間というのは勝手なもので、自分だけは、いつもまわりのわからずやからいびられる正義の立役みたいな気になっているけれど、本当は、くらやみから不意に切りつける敵役の方も、ちゃんと演じているからである。そしてそのことは、なるべく自分で気づかないようにしているから―何とも始末の悪い動物である。(205P)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2023年9月4日
読了日 : 2023年9月3日
本棚登録日 : 2023年9月3日

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