ねじ曲げられた桜: 美意識と軍国主義

著者 :
  • 岩波書店 (2003年4月22日発売)
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本棚登録 : 47
感想 : 9
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確認先:川崎市立麻生図書館

一言で言って物足りない。
というのも、桜が孕むメタファーについてもう少し根を掘った分析もありえたにもかかわらず、なぜミリタリズムに「しか」回収できなかったのだろうか。そこに疑問符が残る(その点で言えば「カミカゼ」という虚構をなぜ自ら希望したのかという点でしか指導できなかったピエール・ブルデューの過失は重大である→もう少しマトモな意見を言うべきだったのではあるまいか)。

たとえば、さくらんぼと「武士道」には関係性が望めるのかとか、そもそも桜をメタファーで用いること自体が特殊的な行為であると言い切れるのかといったような分析や見解もあればいくぶん期待したのだが……

「政治にタッチすることはできても歴史を作ることはできない」――敬愛する巨匠の言葉を気安く拝借するのは気が引けるが、逆立ちした三流研究者(例:若桑みどり・渡部昇一など)と同じツッコミをせざるを得ない点に本書の欠陥が凝縮していると言ったらそれまでであろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 借受:かながわ
感想投稿日 : 2009年9月15日
読了日 : 2009年9月15日
本棚登録日 : 2009年9月15日

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