私立クレアール学園 学園祭で華になれ! (講談社X文庫 ホワイトハート)

著者 :
  • 講談社 (2007年8月2日発売)
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感想 : 3

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インターネット上のSNS機能を活用した架空の男子校である「クレアール学園」の公式ノベライズという設定である本書。主人公功刀沢巧の転校からはじまる友情形成ストーリーと学園イベント(なぜ、女装イベントでなければいけないのかという点の説明がない点は読者の差別化を招くのではないかと懸念する)を縦軸に、ミステリー調の事件を横軸にした感じのストーリーになっている。

一読して、「乙女妄想の男子校ははたして経常収益が赤字にならないのだろうか」という評者が抱える疑問が再燃するような雰囲気だけしか残らない点が惜しまれる。というのも、西門が気づかない部分でそうした問題をにじませるシーンが多数あるからだ。まず、そもそも母体が「コミュニティーサイト」でしかないという事実の前に「ミッションスクール」だのなんだの言い訳がまず理解できない障壁となって読者を差別化するその構造。次いで、学校のミッションが明確ではないこと(言い換えると誰が発話の地点におかれるのかというメカニズムである)、そして最後にこの学校は何のためにあるのかという存在意義があいまいすぎるのだ。

ちなみに
元メンバーとして眺めた時に感じるのは露骨なまでの「収奪性」である(クレアール学園はとにかく何でも有料で、支払いがクレジットカード・ネットバンキングだけの明らかに差別化をあおる形態になっている。その結果グループに入るのも、テストを受けるのもすべて有料である)。その収奪性なくして経営が成り立たないのだとしたら、それもまた問題である(なりきりたいというすべてのオーディエンスの欲望を充足できない構造なのだ)。

西門による本書が与える問題の影響は意外な面で見えてくるということが本書最大の収穫と言ったら誉めすぎであろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 借受:23区
感想投稿日 : 2009年7月12日
読了日 : 2009年7月12日
本棚登録日 : 2009年7月12日

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