迷いを断つためのストア哲学 人生が変わるストア哲学

  • 早川書房 (2019年4月3日発売)
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以前に読んだ『Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法』( ロルフ・ドベリ(著)、安原実津(訳)/サンマーク出版 )にはストア派の思想を現代向けにかみ砕いたTipsが豊富に紹介されていました。
それがきっかけでストア派の思想に触れたいと思い本書を購入。

本書の冒頭にも述べられますが、ストア派の思想は実践性が高いものの、ある種のクセの強さがあります。そのクセを理解していなければ、ストア派の思想を十分に理解できませんし、むしろこの思想を誤解することにつながると思います。
本書ではストア派の思想を(主にエピクテトスをベースに)優しく説いてくれるため、実際に古代ギリシャ・ローマの哲人の書にあたる前に読むのがおすすめです。

その内容も非常にシンプルで読みやすいです。ストア哲学を特徴を「①欲求の原則」、「②行動の原則」、「③受容の原則」の3点から説明をします。
物凄くかいつまんで説明すると①では自分の力の及ぶ対象に対して欲求し、そうではない対象は「あるがままに任せる」ことを説きます。これによりある種達観した心境を持つことができます。
②はストア派の重視する人間の社会性と理性という2点から、人はいかなる原則で行動するべきかを説きます。個人的にこれが最も実践が難しいように感じました。
③は、①で言及する「自分の力の及ばない対象」に対し、これにどう向き合い、受容するかを説きます。その最たるものは「死」ですね(セネカが「私たちは日一日と死んでいる」と述べたように、ストア派の哲学者たちは死への向き合い方を非常に重視しました)。

終始、筆者の身の回りの出来事を引き合いに出してストア派の思想をかみ砕いて説明してくれるので、とてもわかりやすいです。
また、実際に本書読了後にセネカやマルクス・アウレリウスの書にあたりましたが、すんなりと腹落ちできたので内容も的確だと感じました。

これからストア派の思想に触れたい方にはとてもおすすめの一冊だと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 思想・哲学
感想投稿日 : 2022年4月10日
読了日 : 2022年4月10日
本棚登録日 : 2022年2月4日

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