聖地巡礼 - 世界遺産からアニメの舞台まで (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社 (2015年2月24日発売)
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本棚登録 : 204
感想 : 20
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世俗化と私事化が進展した社会における宗教の位置づけを「聖地巡礼」を軸に紐解く一冊。

サンティアゴ巡礼については寡聞にして知らなかったため、第2章は特に面白く読みました。
信仰のない現代の巡礼者にとってはサンティアゴ大聖堂の聖遺物は旅の目標にはならないため、代わりに徒歩巡礼を選び、サンティアゴまでのプロセスに意味を与えているのだといいます。
「インタビューや無数の巡礼記からは、他者との交流体験、つまり巡礼仲間との出会いや別れに高い価値が置かれている様子がうかがえる。」(第2章 3 ゴールより重要なプロセス オスピタレーロとゲスト同士の交流)
そして、「信仰者の巡礼体験が本物で、信仰なき巡礼者の体験が偽物なのではない。」「巡礼から宗教性が失われているわけではない。」(第2章 4 予定調和の巡礼体験 パターン化される交流体験)と明言されています。

私は転勤で京都に住んでいた頃に松尾大社の女神輿を担いだことがありますが、お酒造りの神様らしい、ぐらいの感覚で、松尾大社の御祭神の名前も知らないままでした。
それでも、同じ肩の痛みに耐えた仲間たちとの一体感はかけがえのないものだと感じました。趣味嗜好が多様化する現代において貴重なこの「他者との交流体験」もひとつの宗教的体験だったのだと本書を読んで気づかされました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2021年6月23日
読了日 : 2021年6月18日
本棚登録日 : 2021年6月23日

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