アメリカン・ブッダ (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房 (2020年8月20日発売)
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本棚登録 : 182
感想 : 13
4

初・柴田勝家作品。面白かった!これは存命国内SF作家で追う対象が一人増えたという嬉しさ。『ヒト夜の永い夢』と『走馬灯のセトリは考えておいて』を購入する。(同一作者と思われる表紙のイラスト、好みすぎる)

作品はライトにエンターテインメントで面白かったのだけど、柴田勝家…?に対しては解説できちんと回収してくれているのでそれも有難かった笑。検索して柴田…勝家…だなご本人となったので笑、「ハイライトを失った目で「はい、柴田勝家でした」って言う」という文章にそれな?ってなってました笑。一人称が「ワシ」で、編集部から「殿」と呼ばれているの面白すぎるし、そもそも柴田勝家とかってペンネームにしていいんだという驚き。早川からSF武将作家って呼ばれているのもウケる。

さて本編である。
「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」相手が本当に存在しているのか、イメージの中にしかいない相手なのか、究極を突き詰めれば判断できないという話をSF×民俗学で著したもの。第49回星雲賞【日本短編部門】を受賞した作品とあってテンポもいいし、アプローチもユニークだし面白かった。最後の「私は自作した籐座に腰掛けながら、文字列だけの世界に夢を見て、見も知らぬ学生達の実存に思いを馳せた」

「鏡石異譚」さわやかな(?)タイムトラベルもの。実際に建設中の国際リニアコライダーと遠野物語を組み合わせるというもの。面白かった

「邪義の壁」これはSFではなくホラーですね。"ウワヌリ"の意味が分かってぞっとする。夏にぴったり。

「一八九七年:龍動幕の内」熊楠と孫文のミステリちっくなドタバタ劇、楽しかったので『ヒト夜の永い夢』が楽しみなのだ。
「僕が唯一、神仏として崇めるとしたら、それは華厳経なんかで説かれる大日如来だ。これは仏ではない。釈迦が至った悟りの境地そのもの、いわば全宇宙の真理だ」…「あらゆる神格は真理という光によって生まれた、個人あるいは民衆の精神の影だ。影に実体はないが、だからといって存在していない訳じゃないからな」

「検疫官」思い出すはブラッドベリの『華氏451度』

「アメリカン・ブッダ」私はこの表題作が一番好きだったなあ。
そもそもの設定も、その中で生まれる争いや対立などの話も納得しやすかったし、主人公である彼が(ミラクルマンの語る幼馴染と分かったときの驚き!)宇宙の開闢からやり直し最後にたどり着いた結論というのも、今の21世紀を生きる、日本人には、腑に落ちやすかったというのもある。最後の「君の、本当の名前はミロクだ」は少し千と千尋っぽいんだけど、エンディングという感じで好きでした笑

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2023年8月13日
読了日 : 2023年8月11日
本棚登録日 : 2023年8月11日

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