小川糸さんの作品だから、と読み始めたものの、今回はかなり毛色が違った。
レズビアンカップルとその子どもたちで成り立つ家族のお話。
LGBTのひとたちの生活の様子などがわからないので何とも言えないけれど、カップルはともかく、子どもたち(もちろんそれぞれ別の男性パートナーとの間にできた子供だ)がいともたやすくこの状況を受け入れて適応するものなのだろうか、とか、そもそも見知らぬ土地に行って生活を始めよう!とふらりと出かけた先で家を借りて庭を造って、ということがこんなにあっさりできてしまうのか、などと展開に違和感を感じてしまった。
人の情や、丁寧な生活を描くあたりは小川糸さんの世界だよなぁと思いながらも、全体的に現実味が薄く、かといってフィクション感も薄く。
読み終わってから改めて考えたのだけれど、たとえば童話のような、あるいはカップルのことも、過剰適応してしまう子供のことも、デフォルメして描かれていると思えばわかりやすかったのかもしれない。
お話の終わり方もなんだか淋しかった。レズビアンマザーのもとでいろいろな苦労も背負ったであろう草介には、幸せな未来があってほしかったな。カップルふたりは幸せな愛のかたちを築けたけれど、その分のしわよせが草介にいってしまったような感がしてならない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小川糸
- 感想投稿日 : 2019年4月24日
- 読了日 : 2019年4月24日
- 本棚登録日 : 2019年4月24日
みんなの感想をみる