8歳から80歳までの世界文学入門

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ジョナさん others   未設定

岸本佐知子との対談目当てで借りたけど、おもしろくって全部読んでしまいました。
他の方々とは真面目に文学について語ってるんだけど、志賀直哉はボキャ貧とか、富士通オアシスの親指シフトとか、彼女とのトークは本当におもしろくて、なんだか異質。

沼野:でも、その後の岸本さんは普通に大学を出て、いえ、普通どころか、大変立派な上智大学を出て、 就職もサントリーという立派な企業に勤められていて、これはどう見てもエリートコースですね。
岸本:その場その場でなんとか潜り込んで、その集団の一番下の層にいることの繰り返しだった気がします。(p.197)

いちどKindleで手に入れた短編を訳したときに、やはりどうしてもやりにくくて、仕方なくてKindleの画面をコピー機でコピーするということをやりました(笑)。 いったい自分は何やってんだろうと思いました。(p.251)

こんな感じね。


でもそれ以上に沼野氏の「文学はこの世の中の役に立っているのか」ということについてのあとがきがすごく心に残ったので引用しておきますね。

そこで人文社会系ですが、なぜこの分野を権力者が切り捨てようとするのかといえば、役に立たないからだけではないでしょうね。 財政界の動きに対して、批判的なことを言うのは、人文社会系の人間だからです。一部の例外はありますが、理科系の研究者はあまりそういうことを言わない。 だから人文社会系の研究者は目障りなんです。役に立たないことをしているだけじゃなくて、世の中のあり方について批判までする。
だからこそ、いまはむしろ人文社会系の意味が高まっていると、私は思います。(…) しかし、しなやかな言葉の使い方を本領とする文学には、世の中に蔓延している嘘を見抜く力がある。 だから、政治や経済の言葉の嘘に操られて、みんなが一つの方向にのめり込んでいこうとするときに、それを相対化する潜在的な力を持つのが文学です。(p.323)

このあとがきに救われる学生って何万人もいると思う。

レビュー投稿日
2016年12月29日
本棚登録日
2016年12月29日
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