プラナリア (文春文庫)

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本棚登録 : 3618
レビュー : 469
著者 :
たろーさん  未設定  読み終わった 

「なぎさ」きっかけで山本文緒を読み直してみようシリーズ第一弾。とりあえずは、直木賞受賞作である「プラナリア」から。

5つの作品からなる短編集。
本のタイトルになっている「プラナリア」を冒頭に、それぞれに問題を抱える女性たちの姿を描き出している。

この本をどのように読み解くかでだいぶ評価が変わってくるような気がしました。「男女の問題」と読み解くこともできるし、「家族の問題」と読み解くことができる。でも、冒頭に「プラナリア」を持ってきたことに象徴されるように、僕はこの短編集はあくまでも「仕事」という文脈で解釈しました。

本を読みながら「仕事」って何なんだろうと考えていました。
毎朝、満員電車に揺られて、嫌だ嫌だといいながら職場に行き、たまの飲み会では上司や部下の愚痴をこぼし、でも辞められない仕事(自分のことではないですが)。人が仕事をするのは、それが家族を支える手段であり、アイデンティティであり、人とのコミュニケーションの場であるからだというのが、この本を読んでよく分かります。

「プラナリア」の自堕落した無職の春香、「ネイキッド」で自暴自棄になって再就職オファーを受けられずにいる泉水、「どこではないここ」で夫がリストラにあい、パートで必死に家族を支え続ける加藤。主人公たちは全て仕事がなければ“なるかもしれない自分”かと思うとぞっとします。

僕はまだ20代ですが、仕事の大切さというのをこの本に限らず最近身にしみて感じます。もし、自分が仕事をしていなかったら…もちろんお金の問題もそうですが、自分の存在意義が危うい。働くことで、誰かに必要とされる感覚を持つことが生きる上でとても大事なんだなと思います。世知辛い世の中ですから、そういう感覚を共有して、支え合ってきっと世の中は成り立っているんですよね。

と、まぁ話しが壮大にないすぎましたが、もちろん前述のように色々な視点でこの本を読み解くことができますし、それだけで受け皿の大きい、豊かな小説なんだと思います。山本文緒さん、もう少し読み深めたいです。

レビュー投稿日
2013年12月23日
読了日
2013年12月23日
本棚登録日
2013年12月23日
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